- 社会
選挙で選ばれた正当な政府であっても,公約違反の政策を実行してしまえば次の選挙では間に合わない.憲法違反であればそもそも権限外のことである.
長期的な視点では「ポジティブ・フィードバック」による民主主義からの離脱の要素も重要である.権力を持った層(階級)の支配がある程度の期間続くと,利害関係メカニズムの固定化やメディア支配によって,その層による支配が強化され再生産されるという作用が働く.テレビから締め出された情報は一般の人には届かず,人々は,自分が住む地域以上の広域的社会(国家など)の構成員としては,メディアが作り出す仮想現実の中で暮らすことになる.そのような,「インフォームド・デモクラシー」とは到底言えないような情報環境では,選挙を行っても支配勢力が議席の多数を占め続けることになる.
このような,結果(権力の成立)が原因(民意形成)に作用し,ますますその「結果」を強化するような現象は,電子工学などでは「ポジティブ・フィードバック」としてよく知られている.状態がそれによって固定(ロック)されてしまうと,それを脱するには別のメカニズムによらなければならない(拡声器がハウリングを起こしたときは,ボリュームを絞るか,マイクをスピーカーから遠ざける,など).このようなことは理学・工学の中では常識なのだが,これを社会現象,政治現象に当てはめるのがなぜ難しいのだろうか.
このような理解に立てば,短期的,長期的のどちらでも,選挙以外の方法で民意を政権や政策に反映させる必要があることがわかる.それが集会やデモなどの表現行動,そして労働者のストライキ,そして道路封鎖などの直接行動だ.このような行動形態を広く知らしめるのは運動圏の人々の役割だ.もちろん自らの行動によって.しかしストライキはこの数十年来ほとんど行われず,直接行動の行動形態は沖縄に限定されているのが日本の現状だ.つまりそもそもこのような「知識」を若者に与えることが出来ていない.したがって野党や運動圏の人々がこの活動分野に理解と実践を広げることが重要だ.人々の「エンパワーメント」に大きく関わる問題だからだ.
ブログ記事の一節「行為によるプロパガンダ」参照ください.
http://pegasus1.blog.so-net.ne.jp/2014-11-30#prba
フランスの学生による大学封鎖(5月15日).国鉄労働者なども応援に.
沖縄,辺野古の座り込み(NHK,2017年2月6日)
http://pegasus1.blog.so-net.ne.jp/2017-11-09-1
フランス国鉄のストを封じる2018年5月21日の毎日新聞