「週刊金曜日」2月2日号に,昨年6月に出された国連特別報告者デービッド・ケイ氏の報告書を受けてのシンポジウムの記事が出ている.報告書は日本のメディア状況について国連人権理事会に提出されたもので,「メディアの独立性が重大な脅威にさらされている」(同誌引用)と警鐘を鳴らすものだ(報告書原文はこちら).

来日の際,ケイ氏は「生かすも殺すも皆さん次第.この勧告を重視するならば,社会的議論が始まるでしょう」と語った(同誌).しかし半年以上経っても「社会的議論が始ま」っているとは思えない.驚くべきことに,検索語をいろいろ試みても,本文の日本語訳が出てこないのだ.議論の「出発点」にさえ容易には立てない.それどころか,検索でははじめの方には,「反日報告書」と言った類のものが並ぶと言うありさまだ.[見つかりました!メディア総合研究所による暫定訳]

気にかかるのは,この記事の中ほどに,東京新聞の望月記者へのバッシングが(官房長官会見での質問が注目されてから)激しくなっているということだ.「望月記者」が2人になり3人になれば,どうと言うことはないだろう.なぜ未だに彼女に続く記者が − と言っても,記者として極めて常識的な振る舞いいをしているに過ぎないと思うが - なぜ出ないのか?それほどまで腰抜け腑抜けばかりの集まりなのか,それとも,欧米と違ってジャーナリストとしての専門教育を受けていないため(→関連記事),「ムラ」の掟に従うしか能がない,と言うことだろうか?

「自主規制が一番危険」と言うケイ氏の言葉も重く受け止めるべきだ.
報告書本文は英文で19ページとのことなので,さほど大部でもない.然るべきジャーナリスト団体のウェブサイトは,万一未だ日本語訳がないのならすぐに翻訳・アップロードして,簡単にダウンロードできるように,そして検索でも上位に来るように,努力していただきたい.応援のクリック歓迎
---------
関連リンク
報告書全文(本文中にもリンク)
週プレNEWS :
国連特別報告者・デービッド・ケイ氏に独占直撃! 表現の自由・共謀罪に対する懸念を「生かすか殺すかは日本の皆さんと政府次第」[2017年06月18日]
国連特別報告者・デービッド・ケイ氏を独占直撃!「日本の報道機関は政府からの抑圧をはね返す力が弱い」[2017年06月19日]

Human Rights Now の記事:
The UN Special Rapporteur on Freedom of Expression, David Kaye, releases his report on Japan for the 35th Human Rights Council session