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「準強姦事件逮捕状執行停止問題」の検証を加速せよ−“Black Box”を読んで [社会]

51toF57lPYL._SX344_BO1,204,203,200_.jpg伊藤詩織さんの“Black Box”を読了した.応援の意味でほとんど発売直後に買っていたが,読むのは今になってしまった.ただただ圧倒される.彼女を襲った過酷な事件と現実,彼女の苦しみ,そして勇気とリサーチ力に.また彼女を取り巻く友人などのサポートが大きな力になったことも分かる.警察,メディア,そして政治権力の今の姿を,彼女が遭遇し,また切り開いた鋭い切り口から,その切断面に映る恐怖の影とも闘いながら記録したものだ.

彼女が昨年外国特派員協会で記者会見をした時,それを毎日新聞が完全黙殺したことを3日後の昨年10月27日の記事にしたが,自分の傷口を社会に晒すことにもなる彼女の行動がどれほどのエネルギーと気力を振り絞ったものだったか,あまり想像しなかった.この会見直後のことを彼女は次のように書いている.病院に運ばれ,「それから数日間,体が動かなかった.咀嚼する力もなく,お腹もすかない.固形物は一週間以上,喉を通らなかった.息が深くできず,体は死人のように冷たくなっていた.」(227ページ)

一連の事象のうち,異常な逮捕状の執行停止という件,これも明らかに「事件」と言えるものだ.しかも政治権力,つまり安倍晋三と重大な関わりを持つ事件である状況証拠について,もうすでに多くの人が確認していることだが,あらためてこの本から拾ってみよう.時系列に並べる.(主に213~215ページ)

(2016.5.8)山口氏が週刊新潮のこの事件での取材の件をFBに投稿したのに対し,安倍首相夫人の昭恵氏が「いいね」を押した.
(2016.5.8の数日?後)事件を週刊新潮が取材していることを知った山口氏が,北村という人物に相談を持ちかけるメールを送ったが(間違って週刊新潮に誤送信したため判明),この北村は北村滋・内閣情報調査官に間違いない”ようだ”.
(2016.6.8)発行された逮捕状の直前での執行停止という事態は(ほとんど?)前例のないことだが,それは現場で捜査に当たっている警察官ではなく,ずっと上位にある警視庁刑事課長の中村格氏の「決裁」であることを,のちに中村氏本人が週刊新潮の記者に語っている(週刊新潮2017.5.18号).
(2016.6.9)山口氏の著書「総理」が出版される.

多くの人がすでに議論したことだと思うが,事件化を恐れた安倍首相が,中村格氏を通じてもみ消しを図ったという線が濃厚だ.野党超党派による「準強姦事件逮捕状執行停止問題を検証する会」の活動の活発化を期待する.
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1401577.gif2/21追記:FLASH最新号(3月6日号)が、安倍首相の「疑惑の披露宴出席写真」を報道('02 12月7日都内のホテル)
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1297521013726276&set=a.104274123050977.7319.100004051689192&type=3&theater
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バッジ@ネオ・トロツキスト

当方は、レイプ犯罪については被害者である詩織嬢を完全に擁護し山口や権力側の性犯罪隠ぺいを糾弾しますが、ジャーナリスト志望者としての彼女には疑問があるんですね。

なぜ、山口のようなエセジャーナリストに就職相談をしたのか?
そこには業界権力崇拝のような不純な思考があったのではないか?
ジャーナリスト志望なら、そこらへんの見識は問われた(る)と思います。
by バッジ@ネオ・トロツキスト (2018-02-06 11:28) 

yamamoto

若く経験の少ないジャーナリストが就職活動をする時、あらゆるツテや可能性を探ろうとするのは全く自然なことだと思います。
“Black Box”読まれましたか?
by yamamoto (2018-02-06 11:36) 

バッジ@ネオ・トロツキスト

いろいろ読み調べ考えてみましたが、やはり納得できませんね。
「Black Box」のどこの部分を読めば、当方の疑問が氷解するとお考えなのでしょうか???

その時点でジャーナリストとして何らまともな実績の無い(それどころか悪しき実績は少なからずあった)山口に「就職相談」を持ち掛けるような態度の奥底に潜むものは、やはりジャーナリスト志望者にとって問題あるものでしょう。
ま、リベラル派にも鳥越のような輩がいますから、ジャーナリスト(志望者)には、「人を視る眼」や孤高・潔癖性、俗世的権力依存の拒絶なども重要な人格的・職業的要件だと思います。

yamamotoさんは「若く経験の少ないジャーナリストが就職活動をする時、あらゆるツテや可能性を探ろうとするのは全く自然なことだ」と仰りますが、そういう考え方は学生からの就職相談にも乗るのであろう大学教員として全く不適切だと思います。
何が「全く自然なこと」なのでしょうか???????
by バッジ@ネオ・トロツキスト (2018-02-08 10:10) 

yamamoto

私はジャーナリストとしての彼女のこれまでの仕事を知りませんので、これからの実績を待って判断したいと思います。
もっとも、この本自体が大きな実績であると思います。
少なくない「悪しき実績」とは?
by yamamoto (2018-02-08 12:02) 

バッジ@ネオ・トロツキスト

権力(特に第一次第二次安倍政権)と癒着した「太鼓持ち番記者」的売文屋・山口は、『総理』を出すはるか以前のTBS政治部時代から、その権力癒着姿勢が「業界」では知られていたそうですよ。少なくとも、山口の怪しげな「取材姿勢」は鳥越の女性問題並みには業界で知られていたらしい。
安倍が総理の椅子を投げ出した時の「スクープ」なども、知恵や脚で実現したまともな真実暴露というよりも「お友だち情報」が得られるぐらい権力と親密だった結果にすぎないそうです。
だから、かつての「戦地報道」や「韓国軍慰安所」問題記事を含め、山口の「業績」はジャーナリストとしての「まともな実績」とは評価されていない。候補に挙がった大宅壮一賞だって、かなりイデオロギッシュでいかがわしい内容らしいですからね。

つまり、山口なんていう男は、TBSのワシントン支局長時代も含めて、真面目なジャーナリスト志望者が就職相談の相手として頼むに足りるような先輩ではないんですよ。
現在の詩織嬢は厄災を経験したことによって成長しかつてとはもう違うでしょうが、あの時点で山口を就職相談に選んだことは、たとえ厄災に遭遇しなかったとしてもジャーナリスト志望者としてはマズい判断だったと思いますね。山口の何をあてにして相談相手に選んだかが問われると思います。詩織嬢の「ジャーナリズム」観が厳しく問われる。
by バッジ@ネオ・トロツキスト (2018-02-09 10:10) 

yamamoto

読み違えてました.「悪しき実績」は山口の,でしたね.すみません.
by yamamoto (2018-02-09 10:26) 

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