2/12追記:
田岡氏の議論が包括的で説得力があります.
乗松さんのツイートにあった「ある軍事評論家」とは同氏のことではないか?
3/4安保理決議の表現を末尾に追記
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北朝鮮(以下,DPRK)の長距離ロケット発射に対して,メディアは「ミサイル発射」と報道し,これに対して政府がPAC-3などミサイル防衛を発動する事態になりました.過剰反応にとどまらない危険な戦争準備活動(主に国民心理の調教)には大いに警告を発しなければなりません.いや,政府の「破壊措置命令」が本当にロケット本体に実施されたなら,戦争になっていたかも知れません.
明日(11日)久留米市で
戦争法廃止の集会が開かれますが(新聞記事も参照下さい),そのフライヤーの裏面が真っ白だったため,この問題で次のような文章を作り裏面に印刷,自宅の周辺30軒ほどに配りました(表は
これ).私が提唱するところの「マルチチュード・メディア」です.画像クリックでpdfに行きます.また,画像の次に追記があります.
応援のクリック歓迎
追記
たしかに衛星打ち上げロケットと弾道ミサイルとは,ほとんどの技術が共通しているので,ミサイル開発のための実験でもあり得ます.「だから事実上のミサイルだ」というのなら,日本の衛星打ち上げロケットもそう呼ばなければなりません.もちろんアメリカのロケットも同様です.でも決してそのような言い方はされません.
さらに,「迎撃」と称してイージス艦を展開したり,石垣島にPAC3を配備したりしましたが,本気でロケットを撃ち落としたらどういうことになるでしょうか.それはもはや戦争行為ではないでしょうか.また,PAC3はロケット本体には届かないので,落下物への対処と言う名目ですが,しかしこれまで,初段ロケットなどの落下物をわざわざ「迎撃」したりしたでしょうか.これらの配備・展開は,実行するつもりもない単なる見せ物と言わざるを得ませんし,政府も自衛隊もそれを分かった上でやっているのでしょう.税金の無駄遣いです.
無駄遣いだけならともかく,ことさら軍事緊張を煽るような行動であり,そうとう強力な軍国化の洗脳作用があります.
DPRKは核開発問題などわが国にとって脅威の存在という面はありますし,拉致問題も未解決です*.しかし,だからこそ,ことさら緊張を煽るのは慎むべきです.安倍政権がDPRKとどれだけ対話の努力をして来たのか,大いに疑問に感じます.
一般紙やテレビだけでなく,今回は「しんぶん赤旗」までもが「ミサイル」と言う言葉を使っています.これには相当な危機感を覚えます.2012年の同様の事態の時は,一般紙が「ミサイル」を使ったのに対し,赤旗は一貫して「ロケット発射」を使いました(→
2012年の記事参照).一体どうしたのでしょうか.
10日の「しんぶん赤旗」には,読者の質問に答える形で「ロケットかミサイルか」を短く論じています(
知りたい 聞きたい).それによると,「ミサイルと人工衛星打ち上げ用のロケットは共通の技術を使用しています.違いは,軍事利用か平和目的かです」とのことです.しかし,外形的基準でなく,いわば打ち上げを行う者の意図で区別するなどというのは普通の用語法ではありません.
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* 時間を少し遡れば,日本が朝鮮半島を植民地にしたことに対する謝罪は,対韓国に比べて対DPRKでは,国交がないこともあってほとんどなされていないのではないでしょうか.
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次の記事は有用だと思います.
ヤフーニュース:
「北朝鮮ミサイル発射」という”大本営発表”,楊井人文 日本報道検証機構代表・弁護士
日経ビジネスオンライン:
北朝鮮のロケット、今回の打ち上げの注目点 警戒は必要だが、ICBMに直結はしない,松浦 晋也
3/4追記:2日に採択された安保理決議の表現を見ると,“the DPRK’s launch of 7 February 2016, which used ballistic missile technology”とあります.つまり「弾道ミサイル技術を使った発射」.3日朝のNHK-BSのニュースが「“いわゆる”ミサイル発射」と,「“事実上の”ミサイル」から言い換えていたのは関係あるのかどうか・・・.