安保法制=戦争法案をめぐって,集団的自衛権容認は違憲であるという,極めてまっとうな論が憲法学者をコアとして巻き起こったことは素晴らしいことだ.同時に,個別的自衛権はまるで当たり前のことのように見なされる傾向が強い.先日,公民館周囲の清掃作業のとき戦争法反対の手製チラシを配ったが,その時「自衛隊そのものが違憲じゃないのか」と言う声が聞こえた.これこそ全うな感覚だ.九条をどう読んでも現在の自衛隊が容認されるはずがない.

では,「もし侵略されたらどうして防ぐのか」というお決まりの議論がなされるだろうが,これも含めて,非暴力の国家防衛という問題について,これまで当ブログで書いて来た記事の目録と作っておく.いずれ簡潔な要約を作りたい.

「さしあたって集団的自衛権の問題に集中すべき,一致点を強調すべき」という意見もあるだろうが,むしろ,フル・スペクトラム・ドミナンス(米軍用語)ならぬ,フル・スペクトラム・アーギュメント,つまりあらゆる考え方の傾向に対して,それぞれに対応した議論をしかける,ということこそが重要だと筆者は考える.

九条原理主義の擁護, 2005年10月
 伊藤真氏の著書の紹介,小林節氏,長谷部恭男氏批判

侵略と防衛の等確率性, 2007年2月
 侵略されるのを予防・阻止し,中止させる対策と同等に必要な,自国の軍が他国を侵略するのを予防・阻止し,中止させる対策が,前者と同じウェイトで必要であること.数学による平和教育.

「攻められたらどうするのか」, 2005年10月
 「武力で抵抗すれば防げる,被害が少ない」とは限らない

憲法九条下での国防, 2007年11月
 「代替防衛」について

伊藤真講演会で「代替防衛」が議論に—久留米大学で, 2010年11月
 軍事力によらない国家の防衛

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以下は古典や文献の紹介,コピペ
カント「永遠平和のために」の第三条項, 2007年5月
アイゼンハワーの「軍産複合体演説」全訳, 2008年4月
石橋政嗣氏の「非武装中立論」(さわりの部分,第二章後半が全文収録)