(関連記事:トリチウムのマルチヒット効果) 末尾の核物理の部分を少し補筆しました.(最終改訂:2017年6月)
12日のバンダジェフスキー福岡講演はとても勉強になりました.500人のホールがほぼ満員になるという,この種のやや専門的な会合としてはたいへんな盛況でした.話題はチェルノブイリ事故後のCs-137(セシウム137)汚染による健康影響が中心でした.

このCs-137による内部被ばく数10Bq/kgでも障害が出るとのことです.同じ化学的性質を持つ同様のベータ放射性核種であるK-40は通常体内に70Bq/kg程度存在していて,しかもCsの体内の挙動はKと似ています.しかしK-40がそのような障害を起こすとは見られていません.「だから少々の内部被ばくでも大したことはない」という,放射線影響楽観派がよく引き合いに出すのがこのK-40です.

しかしCs-137とK-40で影響が違うとすれば,なぜなのでしょうか?自然の核種にさらに人工のベータ放射体が付け加わったという,単に量的な効果なのでしょうか?