他方,「生きる」票とするためには実際に候補者を当選させなければならない.改憲阻止のためには自公などの多数を阻止しなければならない.そのためには,繰り返すが,護憲勢力の共闘が不可欠だ.そしてこれまたほとんど繰り返しになるが,その中で重要な役割を果たすべき共産党の問題点は・・・.(私自身党員なので,内部でも繰り返し主張していることではあるが.)
このところしんぶん赤旗に「自共対決」のスローガンが目立つ.次に挙げるのはいずれも1面の記事である.政策的な意味であればそのとおりだろうが,もし情勢の意味であれば,少なくとも世論調査などを見るかぎり,今のところそれは幻想でしかない.後者の意味でないことを明示しないと,
以前の記事での喩えのように,過去の軍部と同じになってしまう.
所得奪う政治から増やす政治へ / “自共対決”鮮明/NHK討論 志位委員長が主張
参院選公示まで1カ月 / 「自共対決」鮮明に
NHK討論 参院選 自共対決が軸 / 市田氏 「政治のゆがみただす」
政策的な意味でも,自民党とその同列と対峙し,したがって共産党と共通な政見を持つ党は他にもある.社民党とはTPP反対,脱原発,護憲の重要な3点で一致しているはずだ.他にも緑の党など,少なくとも部分的に一致する党は存在している.「自共対決」ばかりを強調すると,これら共に戦う可能性を持つ党派の存在を無視することになり,「独善」の臭いを発してしまう.
もちろん選挙戦においてはどの党も独自性を強調するので,ある程度は不自然でもないが,上の記事だけでなく,紙面では社民党や緑の党のことは全くと言っていいほど触れていない.つまり無視している.これでは,共闘や統一戦線に背を向ける態度というだけでなく,他者の存在を認めないというほどの狭量さを感じてしまう.「社民党などはどうせ小さいし,消えてしまった方が都合がいい」と考えているのか,とさえ想像してしまう.
参院選までほとんど時間がないが,最後まで,たとえ公示後であっても,共闘をあきらめるべきではない.なぜなら,それなしには自民党に多数を許す可能性が高く,その結果,改憲という悪夢につながる危険が極めて大きいからである.党幹部の責任だけでなく,このような状況を
幹部まかせにし,発言しない党員や支持者の責任も重大だ.
NHK衛星放送の「オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史」での一つのシーン,ゴルバチョフとレーガンのレイキャビクでの会談でのことだ.ゴルバチョフは核全廃を提案するがまとまらない.会談が終わってレーガンが車に乗り込もうとするのを呼び止めて,「今からでも会議場に戻ってやり直さないか?」と語りかけたエピソードが紹介される.レーガンは断った.
失敗したとは言え,ゴルバチョフのこのような対話への粘り強さは大いに学ぶべきだろう.核ミサイルの存廃と同様,今回の選挙結果のもたらす影響があまりにも大きいからだ.護憲勢力の中の対話をぎりぎりまで追求すべきだ.レーガンとゴルバチョフの対話よりも困難,などということがあるだろうか?