12月16日に回答がありましたので,こちらに転載しています.

本日(10月13日)朝,JSA福岡 核問題研究委員会メンバー4人の連名で,以下の文書をメールとファクスで「しんぶん赤旗」と共産党に送りました.JSA*福岡 核問題研究委員会は,3.11後まもなく「原発事故緊急対策マニュアル」を発行したグループです.
------------------

                   2011.10.13

しんぶん赤旗と共産党は「避難の権利」を擁護すべきです

           JSA福岡 核問題研究委員会メンバー
                   岡本良治
                   豊島耕一
                   本庄春雄
                   三好永作

貴紙と貴党の福島原発災害と原発問題への取り組みに敬意を表します.しかしながら,現在の政策には,以下に述べるように重大な問題点があるように考えます.

福島県の多くの住民が放射能汚染地域に居住し続けることを余儀なくされています.しかも「放射線管理区域」の定義である「3ヶ月あたり1.3mSv」(時間あたりに直すと0.6μSv)という高い値を超える地域も広範に及びます.このような区域内では,未成年者の就労が法律で禁じられるような環境ですが,未成年者といわず,小児や幼児までもが四六時中この中にいます.しかもこの線量には内部被ばくはカウントされていません.

このような異常な状況に対し,多くの人々が「避難の権利」を求めて闘っています.他人(東電)に生活環境を放射能で汚染されて,それを受忍しなければならない理由などありません.この「権利」はあたりまえ過ぎるほどあたりまえのことです.

しかしながら,「しんぶん赤旗」紙面にも,また三次にわたって出された共産党の「大震災・原発災害にあたっての提言」にも,この権利についての言及はありません.それどころか,例えば,10月10日の「赤旗」の野口邦和講演会記事の「除染が決定的です」という見出しや,10月3日の同氏の「福島の放射線量 3年で半減する」というタイトルの文章などに見られるように,除染のみを一面的に喧伝し,避難の必要性あるいは「避難の権利」の擁護については全く触れていません.

しかし除染の効果が現時点で限定的なのは福島県のサイトでも明らかですし[1],除染作業に伴う作業者の内部被ばくの危険もあります.除染だけで避難に触れないのは,また除染作業の危険性にも触れないのは,まるで「竹槍で放射能と戦え」と言うに等しいでしょう.

短期間に効果的な除染が出来ないときは,つまり,平常値と大きく違わない程度にまで線量を下げる見込みがない場合は,だれもが「避難の権利」,つまり支援と賠償を伴う避難を実行する権利を持つのは当然です.これは最低限の権利であり,本来は,このような高リスクの地域に対しては,国が責任を持って「義務的避難」をさせるべきと考えます.

この最低限の権利としての「避難の権利」を,貴紙と貴党は明確に支持し主張されるよう要請します.さもなければ,この原発災害における被災者支援,人権擁護の活動において決定的で重大な過ちを犯すことになりはしないかと危惧しております.

[1] http://bit.ly/rboxE1
------------------
引用した[1]以外の文書と記事へのリンクです.
「提言」
http://www.jcp.or.jp/seisaku/2011/20110331hisaisyasien_teigen.html
http://www.jcp.or.jp/seisaku/2011/20110517_daishinsai_genpatsu.html
http://www.jcp.or.jp/seisaku/2011/20111007_sinsai_genpatsujiko_3th_teigen.html
野口氏の10/3の記事
http://ad9.org/pegasus/nuclear/noguchi111003.gif
同じく10/10の記事
http://ad9.org/pegasus/nuclear/noguchi111010.gif
* JSAは日本科学者会議の略称