今日6月4日は,学生や市民の民主化要求を中国政府が銃と戦車で弾圧した天安門事件から20年にあたる.当時,日本共産党は,当然ながら中国政府の行為を最大限の言葉で非難した.その後,中国共産党との関係が修復した後も,中国に対してこの誤りを指摘することことを止めていない.(共産党の元職員によるブログ「超左翼おじさんの挑戦」最近の記事が詳しい.)最近では,『日本共産党の80年』という文書を発表した際の志位委員長の記者会見(2003年)でも,次のようにこの問題に触れている.
わが党は自主独立の立場にたって、社会主義を名乗る国々がおかした誤りについても、平和と社会進歩、社会主義の大義にたって、きびしい批判をくわえてきました。ソ連のチェコスロバキア侵略やアフガン侵略、中国の「文化大革命」や天安門事件、北朝鮮の八〇年代以降の数々の国際的無法行為などにたいして、もっともきびしい批判者の立場をつらぬいてきました。これらもまた今日に生きる値打ちをもつものです。
ところが最近は,赤旗の紙面から中国に対する批判的な記事を見つけることがほとんど出来なくなった.チベット弾圧事件もほとんど扱われなかった.

そんな中で今日,20周年の日の紙面はどうかと気になったが,「天安門事件」の五文字は全く見つからない.明日の紙面がどうなるか分からないが,あまり期待は持てない気がする.

もしこの事件に対する評価を変えたのならきちんとそれを明示すべきである.もちろんそんなことはないと思うし,この20年来続けてきたこの問題への態度はきわめて重要なもので,文字通り「党の決定」と言うべきものだろう.20年という重要な節目の日にこの問題を黙殺することは,この「決定」を無視するものと言わなければならない.

「党の決定」を党の機関自身が守っているかどうかは党員が監視しなければならない.「民主集中性」であれ分権型の民主制であれ,少なくとも「民主主義」を運営の原則とする組織であれば,このことは構成員の義務であろう.

それに何よりも選挙を控えたこの時期にあって,この問題で明確な態度を示さないことがたいへんなデメリットであることは明らかだ.

5日朝追記:残念ながら5日の紙面にも一行もありませんでした.
7日追記:3日の国際面(7ページ)に,「天安門事件の再評価を要求 当時の女性リーダー」という豆記事が,6日の同じく7ページに,「中国・天安門事件20年 追悼集会に15万人 香港」と題した,写真入りの13.5センチ四角の記事が出ました.7日付けの日曜版にはこの関係の記事は全くなし.