末尾に,3日の西日本新聞が報じた「Pネット」の声明文を追記しました.

まさに「戦後初の空襲警報」と言わんばかりの状況になっていますが,TVメディアの扱いはあまりにも皮相です.PAC3で迎撃など,従事している自衛隊の人たちは「ショー」と割り切っているのかも知れませんが,まともに取り上げるテレビが異常です.何しろはっきりした守備範囲が軍事機密として公表されていません.

「射程」は十数キロらしいということですが,どの位の角度まで迎撃可能かは不明です.もちろん真横では無理なのは自明ですので,仮に真上から30度の範囲とし,「十数キロ」を仮に15キロとすると,直径15キロの範囲をカバーすることになります.

この計算で行くと,本当に「迎撃」するのなら日本海から太平洋岸までの170キロを等間隔に少なくとも12基は配置しなければいけません(もちろん「中る」ものと仮定して).

くわしいデータを分かりやすく提供するサイトがなかなか見つかりませんが,次は参考になると思います.

長崎県平和委員会
http://www1.linkclub.or.jp/~chi-tan/
左の「ミサイル防衛」をクリックします.

日本軍事情報センター 神浦元彰氏(軍事ジャーナリスト)のサイト
http://www.kamiura.com/new.html

はばもうPAC3 活かそう9条 九州ネットワーク(略称 Pネット)
http://stop-pac3.blog.ocn.ne.jp/blog/2008/08/pac3_4852.html
(残念なことに,pdfでないので文字が読みづらいです.)

核を開発した北朝鮮が,たとえ人工衛星でも,その「運搬」技術を開発するのは許し難いことです.しかし,今回は「ミサイル」だとしてもせいぜい実験であり,爆弾の付いた弾頭が付けられているとは誰も思っていない対象を「迎撃する」などと言うことは明らかに行き過ぎです.戦争行為に近いものと言わざるを得ません.

なお,上の「Pネット」が2日に発表した声明文が,3日の西日本新聞に,小さい記事ながら出ています.25ページをご覧下さい.
見出し:日朝に自制求め声明
応援のクリック歓迎 (1日1回まで)

なお,今月16日からソウルで,「ミサイル防衛」に反対する国際会議が開かれます.
International Conference against the Asia Pacific Missile Defense and for the End of Arms Race
Seoul, South Korea
April 16-18, 2009

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4日20時追記:上で紹介した「Pネット」の声明文のテキストを紹介します.3日の西日本新聞が報じました(25ページ).
              緊急声明

        −「破壊措置命令」の撤回を求めます−




 北朝鮮・金正日政権は4月4日から8日の間に「人工衛星ロケット」を日本上空を通過するかたちで打ち上げると発表しました。

 東アジアにおける軍事的緊張を一挙に高めることもいとわず、強行されようとしている北朝鮮政府の危険な行為にたいして麻生政権は、MD(ミサイル防衛)システムで迎撃する意志を表明し、「破壊措置命令」を発令しました。ただちに海上配備型迎撃ミサイル(SM3)搭載の海上自衛隊イージス艦「こんごう」と「ちょうかい」を佐世保基地から日本海に派遣するとともに、首都圏や秋田・岩手両県の自衛隊基地に地上配備型迎撃ミサイル(PAC3)を展開・配備しました。在日米軍も「シャイロー」をはじめとして5隻以上もの艦船を投入し、韓国軍もイージス艦「世宗大王」を配備しました。

 この「破壊措置命令」の発令と、米軍と一体となった一連の自衛隊部隊の大々的な展開は、「事故による落下被害の回避」なるものを口実とした、れっきとした戦争行動への展開であり、米軍横田基地を司令部として、自衛隊・在日米軍・韓国軍全軍を対北朝鮮の臨戦態勢に突入させるものです。このような北朝鮮と米・日・韓各国政府による戦争的危機を高める行為をわたしたちは絶対に容認できません。

 もしも、飛距離が20kmしかないPAC3を首都圏で発射すれば被害は東京都民に及びます。そもそも、中曽根外相が「(迎撃は)難しい」と公言しているように、命中する可能性がきわめて低いものに兆円単位の税金を投入するのはまったくの無駄使いです。

 「万が一に備えて」などと言う麻生政権の言いぐさは、MDシステムによる、戦後初めての、迎撃=臨戦態勢のもとに国民を動員し教化することをも狙ったものです。実際、東京都や神奈川県、そして東北各県では「国民保護法」にもとづいて国民総動員体制がつくられようとしています。

 私たちは、北朝鮮・金正日政権による「人工衛星ロケット」の発射とそれに対抗しての米日両政府によるMDシステムの発動を断じて許すことはできません。麻生政権は「破壊措置命令」をただちに撤回し“防衛”に名をかりた迎撃準備を中止するよう私たちは強く訴えます。あわせて北朝鮮政府に、「人工衛星ロケット」の発射を即刻中止するよう強く求めます。

 私たちは10月にも予定されている福岡へのPAC3配備の計画の白紙撤回を重ねて強く求めます。

 2009年4月2日

               はばもうPAC3 活かそう9条 九州ネットワーク

(世話人) 石村 善治(福岡大学名誉教授) 熊野 直樹(九州大学教授)

      郡島 恒昭(浄土真宗僧侶)   戸田 清 (長崎大学教授)

      豊島 耕一(佐賀大学教授)   石橋 明 (元高校教員)

                     (連絡先 092-534-2510 石橋)
どうやら人工衛星目的だったようですが,そうなると東向きに(地球の自転の速度を使うため)打ち上げなければならず,必然的に日本上空のコースをとることになります.