地元の高校の先生が主催する劇団「劇列車」の公演を観た.戦争中,筑後平野のまん中あたりに大刀洗飛行場というのがあった.なんでも当時,東洋一の陸軍航空部隊だったらしい.これを米軍が爆撃するが,その時,森に逃げていた小学生31人が殺された.1945年3月27日のことである.この事件を描いた地元の児童文学者飯田よしひこの「シイの木はよみがえった」という作品などから,この劇団が事件を脚本化したものという(パンフレットによる).

2幕構成で,1幕は,先生と子どもたちが空襲に合うシーンまで,2幕は戦後編である.2幕の終わり頃,この爆撃の意外な真実が明らかにされる.(11月と12月に再演があるので,ネタバレ防止!)

なかなかよくできた芝居だったし,演技もよかった.私もだが,観客は舞台に引き込まれていて,ハンカチを使っている人もいたようだ.ただコーラスはいまひとつ.それと,一部だけだが,台詞がよく聞き取れない部分があった.今日が初演だったから,舞台のたびごとに磨きがかかっていくことを期待したい.

大刀洗町といえば,私の家から車で20分ほどの距離.でもこの史実については知らなかった.戦争で子どもが大勢殺されるというニュースがついこの間を流れたばかりだし,レバノンやイラクでは,今の瞬間も起きているかもしれないので,この事件が決して「過去のもの」ではないということは,いやというほど示されている.

折しも,昨夕は,地元の年間を通じての最大イベントである「筑後川花火大会」が開かれていた.このため道路も渋滞で,じゅうぶん間に合うはずが5分も遅刻してしまった.なんでこんな日にぶつけたのだろうか?にもかかわらず席はかなり埋まっていて,観客は100人ほどだったろうか.

たまたま今日は久しぶりに,紙類がうず高く積もった机を整理していて,この劇の招待券を見つけた.なんとチケットには今日の日付.そこで急遽夕方の予定を変更したという次第.今日机の整理をしなかったら,この観劇はなかったということになる.

NHKが取材していて,たしか8日に,多分福岡ないし九州のローカルと思うが,番組で紹介するらしい.

再演は,12月1日,2日に福岡甘棠館*Show劇場で,それより先11月に,日にちは未定だが,八女市見崎中学校.
* かんとうかん,と読むらしい.

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2019/8/15追記:この劇の舞台、大刀洗町と筑前町の境目に「大刀洗平和記念館」があります。その訪問記です。
中国などに与えた被害に完全に目を瞑る太刀洗「平和」記念館