テサロニケ氏の「九条世界署名」提案は大変重要なものだと思う.今年の5月3日の記事に,去年の5月3日の提案を引用し,再提案している.

テサロニケ氏の記事は概して,超越的立場からの物言いで,したがって唯我独尊的な言葉遣い*が多い.また,先日の安田弁護士攻撃記事にはその内容に仰天したのだが,しかし良いものは良いと認めざるを得ない.

昨年5月3日の記事の最後の段落をそのまま引用する.

今回、ユンカーマンが映画『日本国憲法』を製作してくれた。数年前にサッカー選手のストイコビッチも同じ趣旨の発言を残していたが、最近は日本人より外国人から平和憲法の発見と感動の声を多く聞く。不思議なのは、外国人が日本人に平和憲法の意義を説得しているのに、なぜ日本人で外国に向かって平和憲法をエバンジェライズする人間が出て来ないのかということだ。なぜ外国に平和憲法の擁護をアピールする日本の知識人が出ないのか。米国西海岸を発信基地とする日本の国連常任理事国入り阻止のネット署名運動は、瞬く間に全世界を覆って3500万人の署名を一気に集めた。日本国憲法の改正阻止を全世界に訴えるネット署名運動も興ってよいではないか。平和憲法の改正問題は世界を揺るがす重大事であり、日本一国の国内問題に止まらない。改憲阻止は世界中の草の根市民の支援を受けるべき政治問題である。坂本義和が言うように、市民社会が国境を越えて拡がるものであるならば、それを推進する原動力はインターネットであろう。CNNが日本国憲法改正の是非を問う世論調査をする図を見たい。

当時私はこのサイトのことを知らなかったので,この提案も知らなかった.知っていたら何か行動していたと思う.ネット上の提案や事件というのは,それに関わる人数というのはごくわずかなものである.このような重要な提案は,マスメディアとは言わないまでも,「週刊金曜日」などの中小メディアには是非提案してもらいたかった.そうすればかなりの人に注目されただろう.

憲法改正というのは一国の国内問題であり,外国人の協力を求めたりするのは,いわば「内政干渉」を求めるようなもの,という考えは尤もらしく思える.しかし問題は「協力」の内容次第であろう.市民レベルの世界世論は内政干渉ではないし,九条に関してはまさにそれが求められている.

ただ,この国際署名は,単に日本国憲法9条の擁護だけでは不十分かつ不完全である.絶対条件として,「自国の憲法にそれをコピーする」という意味の文言が入っていなければならない.これにより「九条の世界化」の理念が成文化されるだけでなく「内政干渉」性を免れる,イミュナイズされる.

考えてみれば,世界署名運動というのは,わが国の平和運動のお家芸ではなかったか.今も原水爆禁止の国際署名が取り組まれているはずである.
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* テサロニケ氏の「超越性」に関して
例えば,九条の会に「惰眠」という言葉を投げつけているが,では氏はこれに対してどう関わり合ったのか,始めから評価せず傍観者であったのか,あるいは何らかの関わりを持ち,その努力の甲斐もなく「惰眠」に入ったというのか,聞きたいところだ.また,「惰眠」と言えば,自分が設立した反小泉ブロガー同盟が「惰眠」に入っていないのかどうかも問われるだろう.

ただ二つだけになった九条擁護を掲げる共産,社民の両党に対しても,今回の記事では「こんな腐った『護憲派』」とか,両党の「欺瞞と保身とみすぼらしさ」などと,ほぼ罵っていて,あたかも「社共主要打撃論」でもあるかのようだ.しかし両党抜きでこれからの九条擁護運動を語ることが出来るのだろうか?


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