先日,佐賀であったミニコンサート*に行った.メインはシューマンの「女の愛と生涯」,佐賀出身でオランダ在住のソプラノ歌手と,地元のピアニストの共演.両者とも素晴らしかった.他は,オープニングのシューマンの2曲と,後半では有名なオペラアリアを2曲.

メインの「女の愛と生涯」(Frauenliebe und Leben)は「歌曲の年」1840年の作品.シューマンの大ファンでありながらこの曲はこれまで聴いたことがなかった.女性の愛の歌に共感できるとも思えなかったし,調べてみると詩も男性が作っている.そんなものは「でっちあげ」ではないかとますます思えたが,しかしさすがはシューマンで,音楽に完全に「説得」される.

詩の内容自体は,歌手自身が,歌う前に「古臭いものと思われるでしょうが」と言ったとおり,今の時代からはもちろん,近代的精神からもずれている.例えば,第4曲(わたしの指にはめられた指輪よ)の一節はこんな具合: