この本は2015年10月,戦争法国会の直後に出版されています.伊勢崎氏は,東チモールでは国連暫定行政機構の役人として現地で知事を務め,アフガニスタンでは日本政府から派遣されて軍閥の武装解除に当たりました.このように紛争現地での平和構築に実績を持つ人であり,そのためこの本は軍事問題,平和構築に関して多くの知見を与えてくれます.

同時に彼は「新九条論」の提唱者として,自衛隊を憲法に書き込むことを主張しています.上のような経歴を持つ人であるだけに,彼の九条改正論は,中間派はもちろん,「護憲派」にも食い込んで行く可能性があります.そこで,その内容を少し検討してみたいと思います.