学術会議の大西会長みずからが,同会議のこれまでの軍事研究全面否定の姿勢を変え,「防衛目的」ならOKという方向に変質させようとしている.内部で抵抗もあるが,予断を許さない危険な状況にあるのは間違いない.わざわざ「デュアル・ユース」というカタカナ英語を使うのは,軍事研究と基礎研究/民生向け研究との区別をあいまいにしようという意図が明白だ.

反対派の論拠として,軍関係機関から資金を得ると研究成果の公開性が制限される恐れがある,基礎研究であっても軍事に応用される恐れがある,ということなどが挙げられる.これらはもっともな懸念だが,最も根本的な問題は,研究者が軍の「人間関係資本」に組み込まれるということだろう.まさにこのことを問題にしたのが2月10日の毎日の社説だ.
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