'13/6/23追記:韓国の雑誌「緑色評論」130号(2013年6-7月号)に翻訳掲載されました.
4/20 全文転載しました.→ペガサスミラー
−−−−−−−−−−
日本科学者会議の月刊誌「日本の科学者」の4月号に,「『御用学者』批判ができない大学社会」と題する7ページの論文を発表しました.3月15日に発売されています.冒頭の「要約」とエピグラフ,小見出しを紹介します.御用学者批判と,国立大学「法人化」の問題が主な内容です.発行は「本の泉社」です.

(要約)
「原発安全神話」をめぐって,これに専門家として荷担した人たちが「御用学者」と呼ばれ,責任が問われている.同時に,新しく流布され始めた「放射線安全神話」はこれから多数の人びとの健康と生命に直接関わるため,緊急に問題とされるべきである.現代社会は専門家による独裁の危険が常にあり,これを防止するには,分野をまたぐ活発な相互批判と,高い水準の「学問の自由」が求められる.

(エピグラフ)
「各文化はそれに属する人々に,地域固有の暴政を振るう.しかし,あらゆる文化の中で自由な精神が手を組み,その暴政に反逆する.それが科学なのだ.」(フリーマン・ダイソン『反逆としての科学』みすず書房)

小見出し
はじめに — 「御用学者」とは誰か
1 新たな「安全神話」と御用学者
2 「科学僧官」宣言?
3 「安全神話」問題からの一つの教訓
4 なぜ批判がないのか—劣化する相互批判の環境
5 国立大学の「法人化」と大学自治
6 「法人化」に無抵抗だった国立大学
7 知識人論,大学論の不在
おわりに— ラディカリズムの再生を

この号には,仙台赤十字病院第2呼吸器内科部長,岡山博氏の「放射線被曝問題と発言の仕方」という文章も掲載されています(ご本人のブログに転載).その中には長崎大学の山下俊一氏への公然たる批判もあります.山下批判が同業者の発言として出てきた意義は大きいと思います.

東大の安冨歩という人の「原発危機と東大話法」という本を半分ほど読みました.実に痛快な大学人批判,東大批判です.私の小文も大学(自己)批判という点では共通しますが,安冨氏の文章の面白さ,辛辣さにはかないません.