技術的説明これと同一機種のガイガーカウンターでこの1ヶ月ほど測定したところ,10分間計数が170〜180カウントでした.つまり1分間で17〜18カウントです.
佐賀県環境センターによる佐賀市の同時期の線量率は約0.04グレイ毎時前後です.グレイとシーベルトを同一とみなして,3.8μSv/hは平常値の95倍になります.つまり,17カウント/分の95倍の計数率,つまり1600カウント/分に近い値になるように,ガンマ線源をカウンタの近くに置いたものです.
装置は,大学や高校の物理・理科の実験室にふつうにある,島津製のガイガー・ミュラー・カウンタ“RMS-60”です.
ほとんどカウンタに接触させるほど近づけなければならないので,私自身かなり驚きました.右は使用したアメリシウム241のガンマ線源(密封タイプ)です.(佐賀大学理工学部教授・豊島耕一)
技術的説明その2このガイガーカウンター(GMカウンター)にはシーベルト単位の目盛りはありませんから,上記のように,自然バックグラウンドとの比で
「校正」 較正しました.その根拠データを次に挙げておきます.
1)佐賀市における空間放射線量率
http://www.pref.saga.lg.jp/web/var/rev0/0074/6509/Saga_City.pdf(入り口)
http://www.pref.saga.lg.jp/web/kurashi/_1262/kan-sisetu/housyanou.html2)佐賀大学における同じ型のGMカウンターによる計測結果
http://pegasus1.blog.so-net.ne.jp/2011-04-05なお,GMカウンターの検出効率(検出器に入った放射線のうち,検出器が反応する,つまり「鳴る」割合)は非常に低く,たとえばセシウム137の662キロ電子ボルトのガンマ線に対して1%もないと思います.つまり,実際にはこの音の百倍ほどのガンマ線がこの検出器を素通りする,ということです*.これはGMカウンターでガンマ線を受け取る物質が気体なので,密度が小さいからです.これに対して人体はずっと密度が大きいので,もっと「効率よく」反応します.
詳しい公的文書を見つけましたので,もっと知りたい方はどうぞ.
IAEA, 1999年文書(7.3MB)
「原子力あるいは放射線緊急事態におけるモニタリングの一般的手順」
http://www.nirs.go.jp/hibaku/kenkyu/te_1092_jp.pdf* 細かい話になりますが,この「シミュレーション」で使った線源アメリシウム241のガンマ線エネルギーは60キロ電子ボルトで,このエネルギーだと検出効率はセシウムの場合より数倍高くなります.