セミナー封鎖について,今度は自分のことを中心に少し書いてみましょう.私が撮った写真も少し入れます.ただしここでは,独占契約のA新聞(→後日の報道)のプライオリティーを害しない程度の範囲です.(2019.Apr. 1番目と3番目の写真がクリックで拡大します。)
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当日の朝は,セミナー開始の1時間ほど前に,マイクロバスで現場に到着,「BBCスコットランド」というラジオ局の生番組に出演することになっていた.

スエーデンのゴーテボルグ大学(Goteborg University)のステラン*,地元エジンバラ大学のリン・ジャミーソン教授(女性),それに私の3人が,中継車の中に入る.中継車と言っても,運転席と助手席が反対向きになるように改造しただけの,外見は全く普通のライトバンだ.ミキサーなどが置かれたテーブルを挟んで,局の運転手兼技術者と合計4人で座る.

質問はスタジオからヘッドホンに聞こえてくる.私はステランの次の2番目に質問されたが,その内容は何となく分かったという程度の情けない状態.しかし聞き返すのもみっともないし時間のロスになると思ってだいたいの見当で,自分の言いたいことを言った.まともな受け答えになっていたかどうか全く不安.湯川博士を引用したのは確かだが,何を言ったかは正確には思い出せない.

終わってアンジーに,「全然ダメだった」と言うと,3番目に話をしたジャミーソンさんが,そんなことはない,ちゃんとやってた,というので少し安心.セミナーの途中だったかお茶の時間だったか,ジェーン(TPの主要メンバー)が,「デイヴィッドが放送を聴いてわざわざ電話してきた,非常に良かったと言っている」とのこと.お世辞7割としても,まあひどくはなかったということにしておこう.質問もきちんとは理解していないのだから,まぐれ当たりということになるが.

セミナーでの私の講演は当初のプログラムでは午後になっていたが,前夜のミーティングで午前に繰り上げてもらっていた.わざわざ遠くから来たのに,警察の介入で講演がボツになる可能性が高い午後ではは気の毒との配慮からだ.講演は全くの原稿棒読みだったが,極力発音,発声,抑揚に注意して,よく聞き取れるように心がけた.

メインペーパーとは別に,3日の記事でも触れた「数学における平和教育」(Peace Education in Math Classroom)もプリントにして配っていたが,これに注目してくれた人がいたのはありがたかった.参加者のほとんどは文系で,数式の書いてあるメモがもの珍しかったからかも知れないが,黒板を使って説明してほしいとの要求が出た.まさかこんな場で高校レベルの確率論の講義でもあるまいと,論旨だけを説明するにとどめた.用意された黒板も小さすぎるし,原稿棒読みならともかく,準備なしの英語での講義はちょっとしんどかったし・・・.

前日のミーティングの始まる前,サセックス大学のリチャード・ジョリー教授**という人と喫茶店で同席した.だいたい学者は講演時間を守らない人が多いというような話から,私が「講演が長すぎる人は警察に逮捕してもらえばいい」と冗談を言ったらウケる.ミーティングの時に彼がこれを「引用」しただけでなく,翌日の本番でまで,今度は座長のステランが,セミナーの冒頭に「講演時間が10分を超えると逮捕するよう警察に頼んである」と講演者に「注意」,これが警備の警官にもウケた・・・ような気がする.
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* このセミナーのオーガナイザー.
** 経済学関係の分野の人で,有名らしい.頭に「サー」がつく.