24日の記事「福島第一,遮水壁はコンクリートではダメなのか?」で簡単に紹介した,ベテラン技術者の方の提案ですが,ご本人からメモが届きましたので,ここにそのまま転載します.
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福島第一原発の汚染水完全処理問題と永久廃炉問題の提言

                 2013年12月28日
                    中西正之
1. 初めに
 福島第一原発の過酷事故が発生し、放射性汚染物質を大量に含む汚染水の海洋への漏洩が進み、現在に至っても完全な対策が見出されていない。筆者は、日本の産業廃棄物の処理設備の建設とメンテ工事に長年携わってきて、重金属の毒性の高い産業廃棄物の最終処理は、昔から重金属の廃棄処理の経験の深い、産銅六社の技術が生かされている事を見てきた。又産銅六社は銅鉱山の管理経験が豊富で、福島第一原発の汚染水完全処理には、産銅六社の経験が必要と思われる。又、筆者は、放射性廃棄物や原発の廃炉処理物の処理設備の燃焼炉、溶融炉部分の建設に長年たずさわって、放射性廃棄物や原発の廃炉処理物の処理作業における被爆労働の問題に心を痛めてきた。その経験から次ぎの提言を致します。

2. 福島第一汚染水の完全遮断に付いて
 福島第一原発の過酷事故の直後から、1号機、2号機、3号機のチャイナ・シンドローム(メルトスルー)による地下水汚染の危険が指摘されて、コンクリート製の地中ダムの必要性が提言されていた。
 しかし、筆者は、地中ダムは底の抜けたザルと同じで、地震によるダムの亀裂発生からも、良い方法とは考えられなかった。
 筆者の提案は、添付図のように、縦坑道と横坑道のトンネル構造による原子炉建屋地下部の完全遮断である。
 埋め込み式のコンクリート製地下ダムは巨大地震により、亀裂が発生すると、点検も補修も困難である。
 連続トンネルにより、地下水の遮断対策を行えば、コンクリートの亀裂等の定期的な検査が楽に行え、又損傷が発生した場合の補修工事も簡単に行える。
 そして、チャイナ・シンドローム(メルトスルー)が起きていても、その外部の地中にも外洋にも放射能汚染水が流出する事を防止できると思われる。

3. 福島第一原発の完全廃炉について
 筆者の経験からは、福島第一原発の原子炉建屋や格納容器を完全に廃炉にする事は、膨大な費用と、大量の被爆労働を生み出すと思われる。
 チェルノブイリ原発が長期的な石棺保存を行っているように、放射能汚染の酷い部分は福島第一原発も石棺保存を行い、廃炉作業は放射能汚染の少ない建物に限るのが一番良い方法と思われる。

4. 汚染水遮断用連続トンネルと第一原発石棺作業はナノテク技術の千年コンクリートで行う事
 現在使用されてきた、コクンクリートはポルトランドセメントの水和反応を使用して作られ、不安定なために100年コンクリートといわれている。
 現在は、ナノテク技術により、セメントレスの1000年コンクリートが発明され、その使用が耐火コンクリートや高層建築などに急速に使用を増やしてきているようだ。
 汚染水遮断用連続トンネルと第一原発石棺作業はナノテク技術の千年コンクリートで行う事が必要と思われる。
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この案の提案者Masayuki Nakanishi 氏のフェイスブック