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PARCO劇場の「夜叉ヶ池」 [メディア・出版・アート]

東京2泊3日のうち,最後の1日が空白で,演劇を探しました.2つの舞台でまだチケットがありましたが,全く予備知識がないので,信頼できる筋に尋ねることに.するとPARCO劇場の「夜叉ヶ池」は完成度高いとの情報で即断しました.
https://stage.parco.jp/program/yashagaike

yashagaike.jpgその推薦の言葉に全く違わず,休憩なしの1時間55分があっという間でした.
泉鏡花という大正時代の作家の作品で,幻想的な世界を描きながら,現代にも全く当てはまるいろんなテーマが織り込まれています.主人公は若い(中年?)の男女ですが,たくさんのチミモウリョウたち(魑魅魍魎,漢字は絶対に書けない)が登場,そのダンスが大きなウェイトを占めます.チミモウリョウという言葉はよく使われますが,ファンタジー作品の世界に弱い私は,その本来の意味をこの作品で初めて理解した次第です.(写真は上のサイトから)
以下最小限のネタバレですが,最後の,神の怒りによって村が大災害に見舞われるシーンでは,観客も丸ごとそれに巻き込まれてしまいます.この演出には感心しました.5月23日(火)まで.
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文春5月4日号の若泉敬氏についての記事 [メディア・出版・アート]

病院の待合室,予約時間から50分も待たされている間,週刊誌記事を2本も読めました.「文春」5月4日-11日合併号.一つは「統一教会”解散セズ” 岸田首相裏切り」.決してこれを読んで血圧を測ってはいけません.

bunshun23-5-4p40.jpgその後読み入ったのは,沖縄密約問題をめぐる若泉敬氏とその著書に関するもの.この件はすでに何度もメディアでも話題になっていますが,フォローしているわけでもないので,記事内容にどれほど新しい情報が含まれるのかは判断がつきません.しかし私にとってはかなり引き込まれる5ページにわたる読み物でした.

ただ,最後の次のような締めくくりは,いかにも「時局」に迎合して情けない.初代国家安全保障局長の谷内正太郎氏の話の引用です.
「若泉さんは国民の生命と財産を守るには、性善説では駄目との考えだった。”違法な武力行使をしなければ、日本を攻める国など無いと考えるのは非現実的。最悪の事態を想定し、充分な抑止力を含めた備えをするべき”―そう強く訴えてきました。これは、二〇二三年の日本にも突き付けられている命題とも言えます」

ロシアのウクライナ侵攻、深まる一方の米中対立、台湾有事の可能性も指摘され、日本、わけても沖縄を取り巻く安全保障環境は今、激変している。「政府は防衛費をGDP比二%に増額する指示を出しましたが、重要なのは防衛力をどう構成するか。陸海空だけでなく、宇宙、サイバー、電磁波等の新領域での能力を一層高めていく。そのことで沖縄の人的、地理的な負担を軽減できる可能性もあります。若泉さんが心を寄せた沖縄には今も、在日米軍施設の七割が集中している。ただ、日本国内のどの地でも『在日米軍の駐留は必要だが、我々の地元は困る』という〝総論賛成、各論反対"になっているのが実情です。沖縄の痛みに正面から向き合いながら、新時代の安全保障体制を築く方策を国民全体の議論で探っていかないといけません」
いかにも尤もらしく聞こえますが,「性善説では駄目」との若泉氏の「考え」を代弁したこの言説自体がまさに「性善説」であることに,谷内氏はともかく,この記事の筆者も気づかないのでしょうか?つまり「自国の軍備や軍隊は決して侵略者になることはない」という,まさしく素朴な,それこそ「お花畑」の性善説です.

・・・と,以上まで昨日フェイスブックに書き込んだのですが,しかし後でよく考えて見ると,この記事全体が谷内正太郎氏の視線で書かれていることからも,「情けない」と評した上記の末尾の部分こそがむしろこの記事の狙いであったと理解しました.ウクライナ戦争を利用しての軍拡思想のプロパガンダは「文春」にも行き渡っているようです.
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関連記事リンク

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フランスの公共テレビはデモを生中継 [メディア・出版・アート]

日本のメディアはデモや集会を生中継したり,参加者にインタビューすることなどまずないし,それどころか,その存在自体も無視することが多い(末尾に例).このことで人々の間に「デモは特殊な人たちのすること」という観念が出来上がる.昨日(4/28)夕方,偶然franceinfoのライブをYouTubeで見たら,まさにデモの生中継だった.フランスの人々は「年金改革」強行を認めていないし,諦めてもいない.5月1日の大規模デモで,この撤回を求める法案をアピールするようだ.

フランス語の学習も兼ねて,AI書き起こし,自動翻訳(+微修正)にかけて見た.
番組冒頭部分のビデオ(クリックで再生),下にインタビュー全部の日本語訳と原文と続きます.
franceinfo230428+playbutton.png

(インタビュアー)
 フロラン(スタジオのアナウンサー)、確かに私がいる集まりは、「労働安全衛生のための世界デー」なので、何よりも労働安全衛生に関するものであることを思い出してほしいです。しかし、もちろん、私たちは特別な状況の中にいて、年金改革はみんなの口癖になっています。

先ほど、この種の動員にはつきものである有名なフライパンの音が聞こえてきました。そして、この年金改革、特に法定年齢の64歳への延長に対する、ここにいるデモ参加者の立場を表現する数々のスローガンが聞こえてきました。
ご覧のように、私はトマ・ポルトと一緒です。

トマ・ポルトさん、こんにちは。あなたはセーヌ=サン=ドニの不服従のフランス(La France insoumise)の国会議員ですね。あなたも5月1日に行進されるのでしょうか?

(トマ)
はい、何百万人ものフランス人、年金改革に反対しているフランス人と同じように、5月1日に行進するつもりです。

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フランスの歴史家がテレビでマクロンを厳しく批判する- 西村カリン さんが引用 [メディア・出版・アート]

コメントを末尾に追記しました.
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フランス人ジャーナリスト 西村カリン さんのリツイートで,歴史家がテレビでマクロンを批判するフランスのテレビ番組の動画を見ました(元ツイート).なかなか日本のテレビでは見られそうにない掘り出し物という気がしたので,フランス語の学習も兼ねて,文字起こし,翻訳をして見ました.文字起こしは Lyrebird AI の読み取り機能,翻訳は99% DeepL です.背景知識が乏しいので意味不明のままに残したところもあります.(添削歓迎)

karyn-nishimura.jpgさて,日本にもこのような論者はたくさんいるでしょうから,テレビも,政権に忖度ばかりしないで,本物の学者を出して下さい.

では,まず翻訳,次に原文と続きます.
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ピエール・ローザンヴァロン

彼は考えていないのだと思います。彼は民主主義の危機があることに気づいていないのです。彼にとっては、民主主義の危機はなく、制度は機能していたのです。そして実際に、私たちが今経験した結果は、憲法に則っています。四十九条三項は憲法に則っています。迅速に公布されたのです。
法律は憲法に適合している。憲法審議会が意見を述べた。憲法に適合している。憲法の機能という観点からは、何も問題ない。しかし、民主主義は、単に憲法の文字だけで生きているわけではありません。民主主義は制度の精神にも生きているのです。
彼のように高等教育を受けた人は、モンテスキューの法の精神に関する本を必ず読んでいるはずです。民主主義の精神、制度の精神があるということ、このことを今日私たちは忘れすぎている。文字は尊重されるが、精神は蔑ろにされる。

(MC) あなたは怒っていますか?

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フランス映画『パリタクシー』 [メディア・出版・アート]

(ネタバレなし)
『パリタクシー』,きのう天神のKBCシネマで観ました.原題(Une Belle Course)をそのまま訳するなら「美わしい道行き」と言ったところでしょうか.

劇場内は補助椅子まで出しての大盛況,映画館のこんな風景は本当に何年も,いや,何十年も見ていません.その日が料金割引だったこともあるでしょうが,それにしても・・・.用心のためネットで席を予約していて正解でした.

paristaxi.jpg
ほんとにいい映画でした.大入りなのもうなづけます.ユーモアも随所に・・・ケチな客の,実質値切り要求に運転手がどう応じたかを話すシーンでは,声を出して笑ってしまいました.冒頭の,男性客のかける電話の内容は,まさに今の社会の苦しさを端的に描写していて,映画全体も社会性がしっかりしています.主人公の一人のこの運転手の生活も,現在進行中のフランスの大規模デモ(年金開始年齢の延期反対)の背景を想像させるものでした.

運転手が客とレストランで食事をする場面がありますが,テーブルの2つのグラスはどう見てもワイン,しかも運転手はまだ仕事中.1杯だけなら(だけかどうか不明ですが)運転してもOKなんですね.その昔パリの大学に「研修」に行っていた時,フランス人の同僚に,飲酒運転への取り締まりが日本ではいかに厳しいかを話したら,ちょっとなら違法ではないという返事*だったのを思い出しました.キリスト教の祝日と思われる日に職員食堂で昼食時にワインがあり,私も飲んだことがありますが,車通勤の同僚も.今も変わらないのでしょうか.

館に入るなり,ロビーは満員電車並みの大混雑.マスクなしの人は全く見かけませんでしたが,それでもかなりハイリスク.劇場内では,上映開始前に「必要な換気量は確保しています」のアナウンス,しかしロビーの換気量は不明.例のCO2濃度計は持って来ていませんでした.
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当ブログの映画ネタ記事から
故・吉岡斉教授の未公開資料/映画「妖怪の孫」
失業した中年女性が若い金持ちの証券トレーダーの家政婦に  同じくその2
「月光の夏」のモデルとなったピアノを弾いてみました
NETFLIX版「新聞記者」は日本の映像史の時代を画す
映画「はりぼて」とテレビドラマ「半沢直樹」
映画「ジョーンの秘密」
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故・吉岡斉教授の未公開資料/映画「妖怪の孫」 [メディア・出版・アート]

(4/14 吉岡氏追悼文2018を追記)
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NHK福岡が3月10日に放映した、故・吉岡斉教授の仕事。ザ・ライフ「ある原子力学者の遺言 ~未公開資料が語る~」
NHKプラスでの公開は3/24までですが、デイリーモーションにアップロードされました。

次は番組で紹介されたある官僚の告白。TV画像からコピー...まさに、ハンナ・アーレントの「凡庸な悪」そのものです。是正のヒントは丸善の科学技術倫理の教科書の「責任ある組織上の不服従」の項目にあると思います。
嘘を承知で.jpg

yokainomago.jpg同様の病弊は、3月17日に封切られたばかりの映画「妖怪の孫」にも見られます。今日(20日)福岡・KBCシネマで鑑賞しました。その中の、2名の覆面官僚のインタビューは、この国の政治中枢の壊れ方の凄まじさを物語ります。上のNHK福岡の作品に出てくる官僚の独白(上の画像)にも通じます。これらの作品を見ることは日本を変えることにつながると思います。

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「思想運動」への読書推薦文 [メディア・出版・アート]

shiso-undo230201top.jpg『思想運動』という新聞とお付き合いがあり、「いまだから読みたい、戦争と平和を考えるこの三作品」第二弾、という企画への執筆依頼がありました。編集部の許可を得て、2月1日号に掲載された文章を転載します。(画像や、それぞれの末尾のリンクは紙面にはありません。)





1 『自衛隊も米軍も日本にはいらない』(花岡しげる)花伝社
憲法九条完全実施の理論と戦略の書。自衛隊を廃止し「災害救助即応隊」を創設するという説得力ある「代案」とセットで、真の平和国家建設のプログラムを、これに至る政治的な戦略とともに提案。いわば「九条原理主義」で、一読すれば護憲派の多くにある自衛隊に対する曖昧な態度こそが説得力を削ぎ、改憲派に攻撃の余地を与えていると分かる。著者はコスタリカを三度現地調査している。
(関連記事)より詳しい紹介記事




randle.jpg2 『市民的抵抗』(マイケル・ランドル)新教出版
ガンジーの非暴力抵抗、英国のグリーナムコモン封鎖など非暴力直接行動の歴史をたどり、現代的意義を解明。5章の非暴力の国家防衛「代替防衛」はまさに憲法九条実施の方法論とも言える。この分野では最近E・チェノウェスによる同名の本が出版、またG・シャープの著作が「100分de名著」で紹介されるなど広がりを見せている。2007年の英国核基地封鎖セミナーで著者と共同行動。
(関連記事) 世界は非暴力直接行動のモードへ
民主主義を補完するものとしての直接行動
マイケル・ランドル氏にこそノーベル平和賞を


randle.jpg3 『米国の科学と軍産学複合体』(スチュアート・W・レスリー)緑風出版
米国の有名2大学における、第二次世界大戦から米ソ冷戦期の軍事研究を個人と組織の両面から詳細に描く。MITとスタンフォードという超一流の大学とはいえ、いわば普通の研究者たちがどのようにして軍事研究に組み込まれていったかを臨場感を持って明らかにする。日本が同じ轍を踏みかねない今、「知の暴力」に嵌るとはどういうことか、研究者は本書でぜひ事前体験を。友人と私の共訳。
(関連記事) "The Cold War and American Science"日本語訳,1月25日出版
「米国の科学と軍産学複合体」追加情報

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「100分de名著」がジーン・シャープを取り上げる [メディア・出版・アート]

(1401577.gif4/6追記)YouTube閉鎖のため動画を別の場所に上げています.末尾をご覧下さい.
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NHK-Eテレの「100分de名著」、1月はジーン・シャープを取り上げました。著書の素晴らしい内容はもちろん、その問題点や、日本の市民にとっての意義にも触れるなど、とても優れた内容です。最終回の終わりの方、エリカ・チェノウェスの本に触れた部分の1分半ほどを紹介します。その中のほんの数秒に、講師の中見さんが日本の軍拡について触れた部分があります。30秒経過のあたり。
「アメリカは、経済的な観点からも、軍事的な介入を抑えて行きますよね。これから。そこへ日本が、ノホホンと、軍事力を増強して出ていったら、それこそホントに馬鹿みたいですよね。

さっそくDailymotion に上がっています。
https://www.dailymotion.com/video/x8hws6m (4月6日,全編ものへリンク修正)
中見さんも指摘したように、日本の市民運動も「非暴力闘争」を戦略・戦術に組み入れることを本格的に考えるべきだと思います。斎藤幸平氏の著書にもあるように、選挙一元論ではダメ(昔から主張していますが)。
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(1401577.gif4/6追記)ビデオを別の場所に上げました.画面をクリックすると再生します.
IMG_4421r-still.jpg
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当ブログでジーン・シャープに触れた記事から
アンジー・ゼルターの新刊 Activism for Life の「非暴力活動」 2022-02-02
憲法九条下での国防 2007-11-23
タープレイの「オバマ 危険な正体」を推薦します 2009-02-11
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小泉悠氏のハフポスト元日付の記事について [メディア・出版・アート]

シェアしたくない記事ですが、批判の俎上に乗せるためです。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/war-in-ukraine_jp_63abb122e4b0cbfd55de3e0d
      付録: 言語は事実ではなく「物語り」しか表現できない?
      リンク: このブログの別記事で小泉氏の発言に言及した部分

ウクライナ戦争や台湾をめぐる緊張で、メディアへの露出度が増えた小泉悠氏ですが、最近本も出したとのことです。本は読んでいませんが、このインタビュー記事を含め、私が目にした限りでは軍拡容認ないし軍拡必要の論者です。

ここでは、このハフポスト記事について、簡単に批評したいと思います。
私の結論をひとことで言えば、事実の検証も乏しく論理性も欠いている、と言うことです。

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藤原帰一氏の安保3文書に関する朝日新聞での論評について [メディア・出版・アート]

kfujiwara2228tw.jpg(『世界』連載についても追記
藤原帰一氏の安保3文書についての論評が朝日新聞の『時事小言』に12月21日に掲載された。東大のサイトにも掲示されている。ご本人がツイッターで紹介されている。

この文章はその始めの方で、政府の安保戦略が、それが目的に掲げた「抑止力強化」の役に立つのか、戦争を防ぐことはできるのか、という「角度」から考える、としている。そしてその結論は最後の数行に要約されていると思われる。その部分を引用する。
侵略に対する抑止は必要であるが、抑止に頼る対外政策は戦争の危険を高めるリスクがある。このジレンマがあるからこそ、抑止戦略と並んで外交による緊張緩和の可能性を模索しなければならない。/外交によって中国や北朝鮮との緊張を打開することは極度に難しい。だが、岸田政権には外交の機会を模索した跡が見られない。抑止力強化に積極的な政権の、そこが危うい。
つまり冒頭の問いに即して端的に言えば、「抑止力強化」の役に立たない、戦争を防ぐことはできない、と読める。しかしそれ以前の本文には、次のように、軍拡容認派が使う決まり文句が、相対化されることなく自身の言葉として散りばめられている。

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