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フランスが植民地支配を「悔い改める」問題 [メディア・出版・アート]

(22日 続く2パラグラフの訳を追加しました。23日 最後の部分まで訳を追加。)
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低レベルの仏語能力ながら少しでも維持したいと思って、ラジオ・フランス・アンテルナシオナル(RFI)の定時ニュースをネットで時々聞くのですが、昨日、フランスがアルジェリアの植民地支配を「悔い改める」というような言葉が、またその中に日本も引き合いに出されているようなので気になりました。そこでウェブサイトで記事の文章を確認、グーグル翻訳でまず下訳、それを修正してみました。ただし前半部分のみです。
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まずタイトル:
Colonisation et guerre d’Algérie: le rapport Stora écarte toute idée de repentance pour la France
Publié le : 20/01/2021 - 13:53

植民地化とアルジェリア戦争:Stora報告はフランスが悔い改めるという考えを否定している
フランスでは、植民地化の記憶とその後の独立戦争の問題が、60年間アルジェリアとの関係に悪影響を与えてきた。 エマニュエル・マクロンが昨年7月に歴史家のベンジャミン・ストーラに報告書を依頼したのは「歴史に正面から向きあう」ためであった。今日の午後にフランス大統領に報告書が提出されることになっている。

その報告書では、その歴史家は悔い改めの考えを否定し、このような政策は「何ら沈静化をもたらさない」と結論付け、その例として日本による韓国と中国への謝罪を挙げる。したがって謝罪することが間題なのではない:「悔い改めは虚飾であり、認識することこそが誠実さである」と彼は側近に繰り返し述べ、しかしまた大統領は彼らに、植民地化とアルジェリア戦争の否定とそれについての沈黙という状態からは抜け出したいとも語った。

それで、ベンジャミン・ストーラは報告書の中で、記憶を調和させるための30の細かな推奨事項を策定している。 その中には、これらの記憶の問題に関する両国間の共同イニシアチブを刺激する責任を負う「記憶と真実の委員会」の設立がある。

(22日:続く2パラグラフを追加。その先はまた後日。)
国会議員でフランス・アルジェリア友好協会の会長ファディラ・カッタビ氏は次のように述べている。「この記憶の仕事をすることは、前進するために本当に不可欠だと思います。 私自身、2018年にフランス国民議会でアルジェリア戦争の展示会を初めて行いました。 もちろんその戦争全体を見直す展示会でした。 ですから、この悲しい歴史のページをめくり、つなぎ合わせるための記憶の仕事の意味で機能するすべてのものを、私は非常に好ましく思いますし、この委員会の中で行われる仕事に大いに喜んでいます。もちろんイニシアチブを歓迎します。」(訳者:下線部は自信がありません。)

ジゼル・ハリミをパンテオンに?

別の提案もある:たとえば、エビアン協定が署名された3月19日を記念日とすること。または、1957年のアルジェの戦いで殺害されたアルジェリア宣言民主連合の活動家である弁護士アリ・ブーメンジェルの暗殺への関与をフランスが認めること。ベンジャミン・ストーラは、 2013年に設置されたアーカイブに関するワーキンググループの仕事の再開を要求している。彼はまた、アルジェリア戦争中にFLN活動家を擁護したことで特に有名な、反植民地主義の弁護士であるパジゼル・ハリミをンテオンに祀ることを提案している。

1401577.gif(23日:最後までを追加)
現時点ではこれらは推奨事項にすぎないが、今朝のエリゼ宮(大統領官邸)関係者は、それらの多くが受け入れられるのは確実と言う。実際、エマニュエル・マクロンは、アルジェリアとのこれらの歴史記録の問題を彼の5年間の任期における重要課題の1つにしている。この小さな爆弾がアルジェリアのテレビに投下されたのは、彼がアルジェリアでのフランスの植民地化を人道に対する罪と呼んだときで、まだ大統領候補の時のことである。

大統領に当選すると、エマニュエル・マクロンは最初の強力な行動に取りかかった。それは共産主義活動家のモーリス・オーダンがフランス兵によってアルジェリアで暗殺されたことを認めることによってである。ベンジャミン・ストラに委託されたこのレポートは次の新しい一歩である。エマニュエルマクロンの目標は、フランスとアルジェリアの人々の和解のために働くことである。アルジェリアでと同様フランスでも、60年後の現在もこの記憶を政治的な目的に利用し続ける人もいることを考えれば、この課題は非常に野心的である。

失望と新たな批判

歴史家のGuy Pervilléによると、これらの勧告事項は、爆弾を抱えた状況によって制約されるいくつかの細かなステップの政策になる。「エマニュエル・マクロンの方針は実際には新しいものではなく、ずっと同じだと思います。一方で、フランスのこれまでの大統領は和解を得ようとしてアルジェリアで演説しているが、同時に、私に言わせれば、彼らはすべて同じ傾向ではない異なるフランスの記憶のグループを背後に持っている。これらの妥協の中には、少なくともフランスでは逆効果のリスクを持つものもあるかもしれません。」たとえば、ジゼル・アリミをパンテオンに祀ることである。歩み寄りを図ることは、記憶と真実委員会に委ねられる仕事になるだろう。
(原文は末尾
第二段落があまり自信がありません。

日本についてのマクロンの解釈は、あまり事情を正確に理解していないのではないかと思います。「沈静化」(calmer)しないのは、日本の「謝罪」が本物でないと受けとられているから、またその方法が中途半端だからではないでしょうか。(22日追記:しかし、以下の「記憶」の問題は共通するのではないでしょうか。まさに歴史認識の問題こそが日本の人々の大きな宿題なのです。)

それはそれとして、ストーラ報告書が「記憶と真実の委員会」を両国で共同で設立することを提案しているのは、日本にとっても大いに参考になるのではないでしょうか。さらには、この時代の歴史について、日韓、日中で共通教科書が作られるようになれば素晴らしいと思います。確かそのような試みがすでにあったような。

ちなみにBBCも同じことを報道していますが、当然、ずっと簡単です。
France rules out apology for Algeria colonial abuses
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1401577.gif(1/23)追記後の感想
過去の歴史を巡っては、それに対する見方、向き合い方を持ついろんな勢力がいるのは日本と同じのようです。その中で、マクロンの態度はかなり誠実そうに思えます。フランスの事情はほとんど知りませんが、おそらく左派から見れば不満も多いのかも。
次に原文をコピーします。

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