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「思想運動」への読書推薦文 [メディア・出版・アート]

shiso-undo230201top.jpg『思想運動』という新聞とお付き合いがあり、「いまだから読みたい、戦争と平和を考えるこの三作品」第二弾、という企画への執筆依頼がありました。編集部の許可を得て、2月1日号に掲載された文章を転載します。(画像や、それぞれの末尾のリンクは紙面にはありません。)





1 『自衛隊も米軍も日本にはいらない』(花岡しげる)花伝社
憲法九条完全実施の理論と戦略の書。自衛隊を廃止し「災害救助即応隊」を創設するという説得力ある「代案」とセットで、真の平和国家建設のプログラムを、これに至る政治的な戦略とともに提案。いわば「九条原理主義」で、一読すれば護憲派の多くにある自衛隊に対する曖昧な態度こそが説得力を削ぎ、改憲派に攻撃の余地を与えていると分かる。著者はコスタリカを三度現地調査している。
(関連記事)より詳しい紹介記事




randle.jpg2 『市民的抵抗』(マイケル・ランドル)新教出版
ガンジーの非暴力抵抗、英国のグリーナムコモン封鎖など非暴力直接行動の歴史をたどり、現代的意義を解明。5章の非暴力の国家防衛「代替防衛」はまさに憲法九条実施の方法論とも言える。この分野では最近E・チェノウェスによる同名の本が出版、またG・シャープの著作が「100分de名著」で紹介されるなど広がりを見せている。2007年の英国核基地封鎖セミナーで著者と共同行動。
(関連記事) 世界は非暴力直接行動のモードへ
民主主義を補完するものとしての直接行動
マイケル・ランドル氏にこそノーベル平和賞を


randle.jpg3 『米国の科学と軍産学複合体』(スチュアート・W・レスリー)緑風出版
米国の有名2大学における、第二次世界大戦から米ソ冷戦期の軍事研究を個人と組織の両面から詳細に描く。MITとスタンフォードという超一流の大学とはいえ、いわば普通の研究者たちがどのようにして軍事研究に組み込まれていったかを臨場感を持って明らかにする。日本が同じ轍を踏みかねない今、「知の暴力」に嵌るとはどういうことか、研究者は本書でぜひ事前体験を。友人と私の共訳。
(関連記事) "The Cold War and American Science"日本語訳,1月25日出版
「米国の科学と軍産学複合体」追加情報

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コメント 2

はてな

非武装中立は亡国の愚策です。冷戦期に日本が非武装だったらソ連に占領されて北朝鮮のような国になっていました。戦後日本が平和だったのは安保があったからです。藤原帰一は、日本人は戦後安保のおかげで平和なのを九条のおかげだと錯覚していると言っています。
アメリカの占領統治が寛大だったため、左翼は他国に占領され、国を失うことの恐ろしさをわかっていません。中ロに占領されたら、チベット・ウィグルのように民族浄化されるか、ウクライナのように虐殺・暴行・拷問されるか、シベリア抑留が再現されるでしょう。北方領土が返還されないように、他国に併合された領土を取り戻すのは至難の業です。
コスタリカ以外非武装の国がないことが、非武装論は説得力がないと世界中の人が判断していることを示しています。民主主義の日本が今後侵略戦争をすることはあり得ないし、国民も支持しません。護憲派の平和論は多分に観念的なので、解毒剤として例えば高坂正堯『海洋国家日本の構想』中の「現実主義者の平和論」を読んでみてください。
by はてな (2023-02-09 11:46) 

yamamoto

コメントありがとうございます。
「民主主義の日本が今後侵略戦争をすることはあり得ないし」
とのことですが、「民主主義」と言っても程度問題で、憲法で軍隊を持たないはずの日本が、外国にまで届くようなミサイルを持とうとしている現状は、民主主義の基本である立憲主義さえ危うい状況にある、と言うことではないでしょうか。
国防の手段に軍備を選ぶか非軍事の手段(代替防衛, alternative defence)を選ぶかは、逐条的議論では長くなるので、公平に両者を比較する表を作っています。次のURLの記事の、4行2列の表と、その下の時間発展のグラフです。
https://pegasus1.blog.ss-blog.jp/2022-04-05#framewk

他にもブログのあちこちで論じています。例えばこちら。
「攻められる」ことと「攻める」こととの等確率性
https://pegasus1.blog.ss-blog.jp/2017-05-03

これ以上ここで長々と論じることは致しませんので、良かったらご自身のブログなりSNSへのリンクをお知らせいただければと思います。
by yamamoto (2023-02-09 23:27) 

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