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封じ込めに成功した国に学ばないのか(2) [社会]

(追記2件;毎日のモニタリング検査に関する記事, 黒木登志夫「新型コロナの科学」+1)
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昨年12月27日の記事と同じタイトルです。日本でほとんど報道されない、コロナ封じ込めに成功している国、ニュージーランド、オーストラリア、台湾、そして中国の状況、前2者について、毎日の感染者数の推移をチェックしてみました。

その前に、日本の状況ですが、最近急激に減ってはいるものの、それでもちょうど1年前よりは200人も多いです。チェックして自分でも驚きました。慣れによる感覚の麻痺というものは恐ろしいものです。2020年10月8日の627人に対して、昨日の10月8日は827人と200人も多い。日本の感染者数のグラフを1年周期で重ねるとこうなります。クリックでJPGに。元データはNHKのサイトです。→図のついたエクセルファイルはこちら(10/23更新1401577.gif
nhk_news_covid19_domestic_daily_data.jpg
あたかも「季節性」であるかのように見えます。インフルエンザがそうなので不思議ではないかもしれませんが、年3回のピークというのは不思議です。部屋の換気の度合いによるのか、紫外線の量か、それとも人の動き、移動の影響か・・・。

昨年とはワクチンというファクターの違いがあるものの、下手をすると冬にかけて再拡大することが懸念されます。メディアの論調は再拡大するものと最初から「諦めて」いるものが多いように思われ、医療体制や治療薬のことばかり言っていますが、もちろんそれは大事ですが、どのような対症療法も「指数関数」には勝てません(「指数関数の怖さ」参照)。感染を予防すること、感染拡大を初期のうちに食い止めることが何より大事です。そこで9/26の記事で紹介した日本グリーンゾーン化戦略や、そのひと月前に別のグループが発表した、空気感染の対策に重点を置くことの提言が重要と思いますが、前者は日経が短く報道しただけ、両者ともほとんど注目されていません。

次に、世界と、ニュージーランドとオーストラリアの最新のデータを見てみましょう。

アメリカ、ドイツ、日本、ニュージーランド、オーストラリア、台湾の、人口百万人あたり毎日の感染者数。(Our World in Dataより)
coronavirus-data-explorer.jpg

もっとも、日本は検査を抑制しているので、実数はこの数倍と思われます。
次はニュージーランド(実数)。ニュージーランド保健省のサイトより。

NZ211009.jpg

そしてオーストラリア、これも実数。オーストラリア保健省のサイトより。

australia211009.jpg
いずれの国も最近増加がありますが、それでも最近ようやく日本の低レベルの現状に「追いついた」程度です。過去長期間ゼロコロナを達成しているので、その経験を生かすでしょう。日本も。
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10/10追記1;毎日新聞10/6に「新型コロナ モニタリング検査は役立たず?」という記事がありました。末尾の部分を引用します。
広島大の梯正之教授(理論疫学)は・・・全国の感染者数の増加に遅れてモニタリング検査の陽性率が上昇していることも挙げて『早期探知ではなく、既に感染が拡大していることを、後から確認するだけになってしまうのではないか。早期検出にはもっと大規模な検査が必要。複数人の検体をまとめてPCR検査をすれば費用は下げられる』と提案する。
この少し前には、検査に協力が得られない理由として、『モニタリング検査が実施されているある自治体の担当者は「事業所で陽性者が出ると業務に支障が出るため、協力が得にくい』と打ち明ける」が、感染者をそのまま放置した方が「業務に支障が出る」のは明らか。なぜこんな簡単なことがわからないのでしょうか。
41jr8TeRzyL.jpg------------
追記2;最近重要な本を見つけました。黒木登志夫「新型コロナの科学」中公新書、2020/12/25初版。この本に書かれたことが出版後に実施されていれば、この夏の悲惨な医療崩壊は起こらなかったと思います。著者は東大医科研、WHOの機関、日本癌学会会長など、錚々たる経歴の人です。本邦独特のpcr検査抑制も鋭く批判しています。181ー182ページから引用。
内部秘密文書
 首相官邸は、PCR検査が進まないことに対する国民の不満と不安を深刻に受け止め始めた。国際的にも、アメリカ大使館の帰国勧告のように、日本は検査小国と見られ、信頼されていないことを憂慮し、厚労省に検査拡大を指示した。しかし、厚労省は動かなかった。
 驚いたことに厚労省は、5月、PCR検査拡大に反対する内部秘密文書を作り、国会議員、官僚を対象にネガティブ・キャンペーンを行っていたのである。民間臨調報告書は、その文書を「補足資料」として明らかにした。「不安解消のために、希望者には広く検査を受けられるようにすべきという主張について」という文書には、PCR検査の感度と特異度が100%でないことを強調し、検査を広げた場合、偽陽性者が増え、医療が崩壊するという内容であった。
 PCR検査を広げると医療崩壊になるという論理は、本末転倒である。感染者を見つけることが、新型コロナ対策の基本である。感染者が出ることを恐れ放置したら、感染が感染を呼び、感染者の「倍返し」となって医療が崩壊する。それに、偽陽性者の問題は、再検査や抗原検査などを組み合わせることで、確認すればよい。
 最大の問題は、厚労省が政治的に動いて、国民の自の届かないところで、自分たもの主張を通そうとする態度であ。公務員としての意識が欠如しているとしか思えない。さらに、厚労省と外郭団体の中には、「行政検査による検査権と既得権益の維持を優先」する人たちがいた、と民間臨調の報告書に書かれている。これも驚くべき事実である。厚労省が「行政検査」に固執していたのは、「検査権と既得権益」のためだったのだ。コロナ禍という国家的大事件の下で、司令塔である厚労省がここまでの弊害を残していたとは信じられない。
+1 牧田寛氏の「またしても無意味な政府の新型コロナ対策。「内閣官房モニタリング調査」が使い物にならないワケ」
https://nikkan-spa.jp/1785257/3
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