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コロナ「第一波」,現場の証言 [社会]

末尾にこれまでのコロナ関連記事へのリンクを置きました。
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5月29日のTBS、New23のコロナ第一波検証の報道は優れたものだった。何よりも、現場の第一線で仕事をされた医師の証言が貴重だ。録画がTBSのサイトで見られる。
http://news.tbs.co.jp/digest/23.htm

前半は専門家会議の議事録不作成の問題を取り上げていた。後半で、「第一波」がどういうものだったか、専門家がスタジオで貴重な証言をされた。音声ファイルからダイレクトに文字起こしをするという便利なサイトが見つかったので(末尾参照)、<さわり>の部分を対象にやって見た。
news23yamaguchi.jpg
<文字起こし>
C:キャスター,Y:山口教授,K:アナウンサー
C 第二波への備えが問われる今、第一波の教訓は残されているのでしょうか。専門家会議は政府の政策決定の土台にもなってきたわけですし、どのような意見がどのような変遷を経て提言がまとまって行ったのかと言うことをつぶさに振り返ることが検証には必要ではないでしょうか。先生はこれをどのように受け止めますか?

Y 私もこれらの会議に専門家として出させていただきますけれども、自分の領域には誇りを持って、そしてあの責任ある発言をするのが専門家の役割だと思っております。異なる領域の色んな専門家が政府の意思決定に関与してるということであるならば、この政府の決定プロセスを詳らかにすることは、これだけ大きな犠牲と我慢を国民に強いている政府の責務だというふうに私は思います。

C 第一波の検証というのが、第二波、第二波の備えに直結してくるからです。先生は、最前線にいらっしゃったお医者さんとして、また東京都の専門家会議のメンバーとして、この第一波を振り返った時に、どう言った問題点があったとお考えになりますか?

Y 端的にいうと政府の判断の遅さということ。それと国民を過度に心配させないという配慮もあったかも知れないが、国民をミスリードしたこと。この2点。

C これまでの経緯を振り返ります。
news23graph.jpg
K これまでの新規感染者の数をグラフにまとめて見ました。3月後半から4月前半にかけて、感染者がずーと増えているのが分かります。
振り返りたいのが、大きな動き見て行きたいんですが、2月27日一斉休校要請がありました。その一ヶ月後、3月24日には東京オリンピック・パラリンピックの延期、4月7日には7都府県に対して緊急事態宣言が出されました。ここで注目したいのは、2月27日一斉休校要請の2日後の安倍総理の発言です。この時「拡大か収束かの瀬戸際」という発言がありました。この瀬戸際という言葉、実はその一か月以上後の4月3日にも続いていたんですね、瀬戸際が継続という風に発言があったんです。そして3月24日の東京オリンピック・パラリンピックの延期の翌日です。東京都の小池知事、「感染爆発の重大局面」という発言がありました。
山口先生は先ほど判断の遅さというご指摘をされましたが、どの辺りのことを指していらっしゃるのでしょうか。

Y あのう、この瀬戸際という言葉、本当に感染が大変な時期にまだなっていないかの瀬戸際だというようなイメージで捉えられると思うんですね。ところがあの現場に立ってる私どもとしてはですね、もうこの瀬戸際と言ってらっしゃるところですでにもう感染が広まっているという実感を持っておりましたので、この時点で、もうすばやく、もうすでに感染が大変なことになっているんだということで、国民にも、そして我々医療者にも覚悟を呼びかける必要があったというふうに思います。

K 先生ご自身も進言されたと言うように伺っているんですけれども。

Y はい、私も日本医師会の委員をさせていただいておりますので、早く、感染がもう大変な時期になってるということを宣言してくださいということは、政府の方にも申し上げさせて頂いております。

K それは2月下旬のこと。

Y 2月23日になります。

K となりますと、このグラフだとそこまで感染者の数はまだそこまで多くないと思われますが。実際にはもっと感染者がいたと言うことなんでしょうか。

Y はい、このグラフに出てくるのは感染、陽性が確認された人数です。この時期なかなかその感染が疑われてもですね、検査ができない、あるいはそこにアクセスできないということが問題になっていたかと思います。ですのでこの時期に既に発熱があったり呼吸の症状があるけれどもまだ確認ができていないという患者さんが実は外来に溢れておりました。

K 医療現場におられて実感されていたと言うことですか。

Y そうですね。しかし、先ほど言いましたように、検査に繋がりませんので、陽性だと確認できないままやむなく、一般病院に、できるだけ個室にどんどんどんどん入れていったわけです。ま、こういう形で病床は次々にこのコロナの疑いの患者さんで埋められていった。もうすぐオーバーフローしてしまうよという声が現場にはあったわけです。

K ではもうこの段階で蔓延している、もう瀬戸際ではないと言う宣言があった場合はどう言う状況に変わったと?

Y はい、この新型コロナ感染症は指定感染症でございますので、通常であればですね、陽性だと分かった時点で隔離をしなければならない。症状があろうがなかろうが、あろうがなかろうが陽性だと分かった時点で全て隔離になります。しかしながらもうこの時期にはベッドがだんだん無くなっておりましたので、より重症の方にベッドを割り振る必要があります。ですので法律では隔離が義務付けられていますけれども、もう感染の蔓延期なので、軽症者は自宅にいてもよろしい、あるいはホテルにいてもよろしい、この、ベッドは重症の人に割り振りましょうというような、そういった舵を切っていただくと言うことがとても大事だったわけす。

C 瀬戸際ではなくすでに蔓延していたと言う指示があれば対応が変わっていたとすれば、これは繰り返されてはならない訳ですけれども。
そのほか第二波への備えとして何が重要になってきますか。

Y 第二波への備えのポイントは、いかに早くその予兆を掴むかということだと思うんです。このキーを握るのは保健所だと思います。
news23phonecall.jpg
<文字起こし,ここまで>
このあと、保健所のあり方についての議論が続いた。
感想を言えば、すでに2月段階からネットには発熱なのに検査が受けられないなどの悲痛な声がたくさん見られ、ただならぬ事態だと感じていたが、山口教授の発言で裏付けられた。
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2月19日:「再検査をして結果が出るまでは隔離してほしい」と訴え続けたが認められなかった(東京新聞)
3月5日:惨事便乗独裁・惨事便乗逃げ切りを許すのか
3月18日:新型コロナ肺炎で後遺症も
3月22日:都道府県別の検査数,陽性率など
3月23日:オーバーシュート=爆発的感染拡大とは
3月26日:爆発的拡大=指数関数の怖さ
3月28日:「新型コロナ、いまの日本は『2週間前のニューヨーク』かもしれない」
4月2日:データサイエンティストの必死の訴え
4月3日:専門家会議は厚労省の隠蓑--上昌弘医師
4月5日:最後の命綱としての自治体
4月5日:ラジオフランスの日本特派員も心配してくれている
4月7日:児玉龍彦教授の新型コロナウイルス危機についての話
4月10日:日本科学者会議福岡支部がコロナ問題で発信
4月14日:政府はニューヨークの後を追うつもりなのか?
4月16日:感染防止に役立つ買い物かご
4月20日:少なくとも感染収束までの原発停止を
4月26日:全国民にPCR検査を--渋谷教授が提言
4月30日:渋谷教授の発言からすでに4日
5月11日:「37.5度4日以上」が何人殺したか?
5月18日:「打ち壊し」の言葉こそないが,今日の毎日の水野論文は衝撃的
5月20日:東京,3月のコロナ死者は発表の10倍以上?
後継記事: 6月2日「安倍政権のコロナ対策,3月時点での『総括』」,上昌広医師,サンデー毎日
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音声ファイルを文字化する「自動テープ起こし」について:
解説サイト https://vook.vc/n/974
      https://popcorns.jp/blog/writerapp/auto-transcription/
実行サイト https://writer-app.com/

マックの場合、実行段階ではブラウザは GoogleChrome でないとダメです。また、そのバージョンも選ぶようです。最初数年前にインストールした古いのでやってたらダメでした。Safariは不可。
上記解説サイトにもありますが、前もってパソコンの「内部音声」を同じくパソコンの「音声入力」につなぐためのアプリ Soundflower をインストールしておく必要があります。
使った感想ですが、非常に役に立つことは確かです。ただ、「聞き間違い」つまり誤変換や、追いつかずに聞き飛ばしもままあります。「再生」速度を0.8以下にしたら後者は改善するかも知れません。

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