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退職金裁判判決 [仕事とその周辺]

本日3月24日,佐賀地裁にて退職金減額問題の裁判の判決がありました.結果は原告敗訴.しかし内容は他の例に比べてもひどいもので,上級審ではむしろ闘いやすいのではないかと思われます.
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数日内に批判をしますが,とりあえず判決文のさわりの部分を紹介します.プライバシーに関わり公開に適さない部分などは黒塗りしています.

(この部分の文章構成.クリックで該当部分へ)スタイルが不統一!
2 争点①(本件退職手当規程の改正が,就業規則の不利益変更としての合理性を有するか)についての判断
 (1)本件退職手当規程の改正の必要性
 (2)本件退職手当規程の改正による不利益の程度
 (3)改正後退職手当規程の内容の相当性
 (4)労働組合との交渉状況
 (5)小括
3 争点②(就業規則の不利益変更の際,個別労働者への周知義務を履行したか)についての判断
 (1)前記認定事実等・・・
 (2) これに対し・・・
第4 結論

・・・・・
2 争点①(本件退職手当規程の改正が,就業規則の不利益変更としての合理性を有するか)についての判断[p.35]
 本件退職手当規程の改正は,就業規則の変更により退職手当を減額するという,労使間の合意によらない労働条件の不利益変更に当たるものであるから,かかる変更が原告らに対して効力を有するというためには,①労働者の受ける不利益の程度,②労働条件の変更の必要性,③変更後の就業規則の内容の相当性,④労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして,合理的な変更であるといえるものでなければならない(労働契約法9条,10条)。
 特に,賃金,退職金など労働者にとって重要な権利,労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の作成又は変更については,当該条項が,そのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容することができるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである場合において,その効力を生ずる。

(1)本件退職手当規程の改正の必要性
 ア 本件要請による人件費削減の必要性
 (ア)被告は,平成16年4月1日に成立した国立大学法人である。
 承継職員は,法人化前は,国家公務員の身分を有し,その勤務条件が国家公務員法に基づいて決定されており,労働基準法等の適用除外とされていたが,法人化後は,退職手当の支給の基準を含む労働条件につき,労働基準法等の規定の適用を受けることになった。そして,法人化時点において退職手当の精算はなされず,この点の精算は,国立大学法人を退職する時に一括して行われることとなった。それゆえ,承継職員に対する退職手当の支給は,当該職員が国家公務員として勤務した期間に対する手当を含むという特殊性を有する。
 また,国立大学法人は,大学の教育研究に対する国民の要請にこたえるとともに,我が国の高等教育及び学術研究の水準の向上と均衡ある発展を図るために設置されたものであり(国立大学法人法1条),国立大学法人の資本金は,政府から出資があったものとされた金額とされ(同法7条1項),政府は,必要があると認める場合には,国立大学法人に対し追加して出資することができ(同条2項),また,国立大学法人の業務の財源に充てるために必要な金額を交付することができる(同法35条が準用する独立行政法人通則法46条)ものとされている。
 国立大学法人法35条が準用する独立行政法人通則法63条3項は,国立大学法人の上記性質に鑑み,国立大学法人の職員の給与及び退職手当の支給基準について,「業務の実績を考慮し,かつ,社会一般の情勢に適合したものとなるように定められなければならない」(いわゆる社会情勢適合の原則)と規定し,国立大学法人に対してその職員の給与水準に関する説明責任を負わせることで,適正な給与水準や効果的かつ効率的な業務運営の確保を促し,国民の理解と納得を得る趣旨であると解される。
 また,改正後国立大学法人法35条(改正後独立行政法人通則法50条の10第3項)は,本件退職手当規程の改正以後に改正されたものではあるが,国立大学法人の職員の給与等の支給基準について,「国家公務員の給与等,民間企業の従業員の給与等,当該国立大学法人等の業務の実績並びに職員の職務の特性及び雇用形態その他の事情を考慮して定められなければならない」旨規定している。これは,運営費の大部分を国庫に依存する国立大学法人の職員の給与等の在り方について,納税者である国民の理解と納得を得る必要性が高まっていることを踏まえて,社会情勢適合の原則の実現のために必要な考慮要素を例示したものであって,改正前後で実質的な変更はないものと解される。そして,当該要素の中には,「国家公務員の給与等」や「民間企業の従業員の給与等」が掲げられており,社会情勢と適合するためには官民較差の解消が要請されていることが端的に表現されている。(甲31,乙50,64,72)
 (イ)そして,前記認定事実等(2)ア及び(3)記載のとおり,被告の経常収益の約26%は運営費交付金収益が占めており,国立大学法人の職員の退職手当は,そのうちの特殊要因運営費交付金が財源とされているところ,国は,退職給付に係る官民較差の是正を目的として,特殊要因運営費交付金を減額しつつ,各国立大学法人の退職手当規程について,改正退職手当法に準じて必要な措置(特殊要因運営費交付金の減額に相当する人件費の削減)を要請(本件要請)した。
 (ウ)前記認定事実等(1)イ(イ)記載のとおり,国立大学法人が特定の事業年度において利益を生じさせたとしても,これが文部科学大臣から経営努力により生じたものと認定されて目的積立金として積み立てることの承認を受けない限り,利益を翌年度以降の事業に使用することはできず,また,目的積立金として積み立てたとしても,これは中期計画で定める剰余金の使途にのみ使用できるものであって,役員及び職員の人件費を積み増しするなどの目的外使用は不適切であるとされていることから,被告が,剰余利益をもって退職手当の差額分に充てることは困難であった。
 (エ)被告は,退職手当を算出する際の調整率につき,改正前退職手当規程において,国家公務員のそれと同率である100分の104と定めていたところ,上記(ア)ないし(ウ)の事情を踏まえて,自主的判断として,改正後退職手当規程において,国家公務員のそれと同率である100分の98ないし100分の87と改正した(前記前提事実(2)ウ及び(3)イ参照)。
 (オ)他の国立大学法人も,前記認定事実等(7)記載のとおり,本件要請に応じている。この点,国から支給される運営費交付金に相当程度依拠して事業の運営を行っている国立大学法人が,退職給付に係る官民較差の是正を目的とした国の要請に従わず,職員の退職手当の減額を行わないという選択をすれば,その財務内容が悪化するだけでなく,国や一般国民からの非難を受け,運営費交付金の減額等によって今後の事業活動に支障を来す可能性があることが影響したものと推認される。
 (カ)以上を総合すると,国立大学法人の職員に係る退職手当減額に関する労働条件変更の必要性としては,財政上の理由のみに限定されると解することはできず,本件において,被告には,本件要請を踏まえ,本件退職手当規程を社会情勢適合の原則に合致し,国民の理解と納得を得られるものとするために,官民較差の是正 という観点から退職手当の減額に向けた改正を行うという高度の必要性があったものといえる。

 イ 原告ら主張の検討
 (ア) 余剰利益による対応の可否
 原告らは,経常利益のうち現金の裏付けのある部分について,目的積立金として利益処分を行う前に,退職手当として支給し,また,経常損失が出た場合でも,欠損金処理として過去の目的積立金や積立金を取り崩して退職手当を支給することは可能であるから,被告は本件退職手当規程を改正する必要はなかった旨主張し,これに沿う証拠(甲25,26,36,証人根本〔34〜36,77,103項等〕)も存在する。
 なるほど,前記認定事実等(3)記載のとおり,平成24年度の未処分利益は約13億円であり,そのうち約7.1億円が現金の裏付けのある利益であることが認められる。
 この点,原告らが主張する退職手当の支給は,当期中に退職手当の支給を行ってしまうことにより利益の発生を障害しようとするもので,実質的には,使途が限定され,人件費積増し等の目的外使用が禁止されている目的積立金(前記認定事実等(1)イ(イ)参照)を目的外に流用することにほかならない。また,かかる退職手当の支給により,被告は,中期目標及び中期計画等に沿って教育研究の充実,キャンパス環境充実及び附属病院再整備を計画的に進めていく必要性があったにもかかわらず,同年度以降にこれを予定通り行うことに多くの財政的制約が生じることが容易に想定できるところであり,そうであれば,被告は,本件退職手当規程改正当時,原告らが主張する特殊要因運営費交付金以外の収益による退職手当の積増しを行わないこととした被告の判断は合理性を有するということができる。
 以上によれば,被告の原告らの上記主張は採用できない。
 (イ)流動資産による対応の可否
原告らは,本件退職手当規程改正当時,被告には多額の現金及び預金を有し財政的余裕があり,改正をする必要性はなかった旨主張し,これに沿う証拠(甲25,26,36,証人根本〔33項等〕)も存在する。
 確かに,証拠(乙22の1〜4,23,証人根本〔18項〕)によれば,被告は,貸借対照表上,平成24年度期末の時点で約179.7億円の流動資産を有しており,そのうち約136.7億円が現金及び預金(なお,定期預金については,1年以内に満期又は償還日が訪れるものに限る。)であることが認められる。
 しかしながら,証拠(乙8の2,21,79,証人佐藤〔58〜61,221項〕)及び弁論の全趣旨によれば,現金及び預金については,既に使途が定められていたり(貸借対照表の流動負債欄),前記認定事実等(1)イ記載のとおり,当期未処分利益として,翌年度以降目的積立金として中期計画に定める剰余金の使途に充てることができるにとどまることから,多額の現金及び預金があることをもって,被告に本件差額分を支出するための余剰金があるとは認めがたい。
 なお,国立大学法人は,利益追求を目的としておらず,独立採算制を採っていないし,法定の業務の範囲から離れて収益事業を行うことができず,借入れや財産の処分による資金調達にも制約がある(国立大学法人法31条2項4号,33条,35条,独立行政法人通則法45条,48条)から,将来の債務弁済の原資となるべき現金等の資産を他に使用してしまった場合には,翌年度以降の収益事業による収益や新たな資金調達によってこれを補填することは困難であることが認められる。
 したがって,国立大学法人である被告の貸借対照表において,現金及び預金が一定程度計上されていることをもって,直ちに 退職手当の補充に充てる資力があるということはできない。

(2)本件退職手当規程の改正による不利益の程度
 原告らは,本件退職手当規程の改正により,改正前退職手当規程と比較して,約5.77%,額については原告豊島において175万3984円,原告■■において157万2773円減額した退職手当の支給を受けたことが認められる。(乙28,32)
 もっとも,前記前提事実(3)ウ記載のとおり,原告豊島が改正後退職手当規程に基づき支給を受けた退職手当の金額は■万4903円であり,また,原告■■が改正後退職手当規程に基づき支給を受けた退職手当の金額は■万0617円であるところ,前記認定事実等(6)及び(7)記載のとおり,本件退職手当規程の改正は,官民較差の是正を目的とした改正退職手当法の成立を受けてのものであり,その改正は全国の国立大学法人がほぼ一斉に実施したもので,被告における退職手当の減額は国家公務員の退職手当の減額と全く同率であって,原告らに支給された退職手当(約5. 77%の減額)も社会一般の退職金の水準(法改正前の官民較差約13.65%)に照らして決して低いものとはいえない。さらに,原告らは,退職後年額■万1400円又は■万0100円の退職共済年金の支給をそれぞれ受けることが確定しており(老齢基礎年金は別途支給。満額の場合は,年額■万6500円。),この額も社会一般の年金の水準に比して決して低いものではない(乙49)。
 そうすると,退職手当の受給権が労働者にとって重要な権利であること,本件退職手当規程の改正から施行まで数日間しかなく,原告らは30日前までの退職届提出による自己都合退職(就業規則16条1項,甲43)によって不利益を回避することができなかったことを考慮しても,本件退職手当規程の改正によって原告らが被った不利益の程度は,国家公務員の退職手当減額と同等 のもので,限定的なものにとどまり,看過できないほど大きいとまではいえない。
 なお,原告らは,平成26年7月1日以降の退職者については減額率が更に大きくなることから ,本件退職手当規程の改正は合理性を欠く旨主張する。この点,原告らの同主張は,本件退職手当規程を原告らに適用する際の不合理性を基礎付けるものではないほか,なるほど,上記同日以降の退職者にとっての退職手当減額幅(約16.35%)は原告らに比べより大きなものとなるが,国家公務員の退職手当の減額と同率であること,社会一般の退職金の水準に照らして低いものといえないこと等の事情は上記と変わらないから,労働者の受ける不利益の程度が限定的なものにとどまるとの上記判断を左右するものではない。

(3)改正後退職手当規程の内容の相当性
 改正後退職手当規程の内容は,退職給付の官民較差を解消するために行われた国家公務員の退職手当の減額と同様であって,退職手当の調整率を約1年半にわたり段階的に削減する緩和措置を備えた内容になっていること,前記認定事実等(6)ソ記載のとおり,被告の8事業場のうち6事業場の過半数代表者が,本件退職手当規程の改正について積極的又は消極的に同意していると評することができること,前記認定事実等(7)記載のとおり,多数の国立大学法人が被告と同じ退職手当規程の改正を行っていることからすると,被告が代償措置を講じていないことを考慮しでも,十分な相当性を有するものと認められる。

(4)労働組合との交渉状況
 ア 前記認定事実等(6)記載のとおり,文部科学省大臣官房長は,平成24年12月5日,各国立大学法人の学長に対し,本件要請を行い(同キ),その後,同月12日,本件組合から団体交渉についての要望書が提出され(同ケ),これを受けた被告は,平成24年12月25日,本件組合と団体交渉を行い,本件退職手当規程の改正の背景事情及び必要性等についで説明を行ったこと(同ス)が認められる。そして,改正退職手当法の施行日は平成25年1月1日であり,他の国立大学法人と退職手当規程の改正時期の歩調を合わせる必要があったことからすれば,前記団体交渉における被告の説明等は,その当時なし得た可能な限りの説明であったというべきである。
イ 原告らは,被告が財政上の必要性について具体的な説明を行わず,また退職手当の補填が不可能であることを示す資料を提示しなかったこと及び改正後退職手当規程の実施時期について,平成25年1月1日から動かせないと述べたことをもって,被告の本件組合との団体交渉は不誠実であった旨主張する。
 確かに,被告は,団体交渉(前記認定事実等(6)ス参照)において,公表済みの財務レポートを見て欲しいと述べるにとどまり,追加資料を提示することはなかったことや,改正後退職手当規程の施行時期について,平成25年1月1日という施行日を変更する予定はない旨述べたことが認められる。しかしながら,証拠(乙21,60,79)及び弁論の全趣旨によれば,被告の財務レポートには,財務諸表(貸借対照表,損益計算書,キャッシュ・フロー計算書,国立大学法人等業務実施コスト計算書,決算報告書)の要約が記載されており,一定の情報開示機能を果たしていたことが認められる。また,前記のとおり,被告は,他の国立大学法人と退職手当規程の改正時期の歩調を合わせる必要があったことからすれば,改正後退職手当規程の施行日を変更しなかったことにも合理性があると認められる。
ウ その他,原告らは,本件で過半数代表者への意見聴取がされたのは,本件退職手当規程の改正を行った後の平成25年1月16日であり,本件退職手当規程の改正に先立ち,過半数代表者の意見聴取を行っておらず,労働基準法90条に反するから,本件退職手当規程の改正には合理性が認められないと主張する。
 しかしながら,上記規定は,就業規則の変更について過半数代表者からの意見聴取を義務付けているところ,前記のとおり,被告は,他の国立大学法人と退職手当規程の改正時期の歩調を合わせる必要があったことからすれば,各事業所の過半数代表者に対する意見聴取が,本件退職手当規程の改正後であってもやむを得ない事情があったというべきであるし,上記意見聴取は就業規則の効力要件であるとは解されないから,就業規則変更の効力に影響を与えない。
エ 以上によれば,被告は,当時の限られた情報に基づき本件組合と誠実に交渉したというべきである。

(5)小括
 以上のとおり,本件退職手当規程の改正によって原告らは一定の不利益を被るものの,被告には,本件要請を受け,本件退職手当規程を改正する必要があったのであり,また,本件退職手当規程の内容も相当で,被告の本件組合との交渉も誠実にされたといえるから,本件退職手当規程の改正は合理的なものであって労働契約法10条の要件を満たしており,原告らに対して効力を有するというべきである。

3 争点②(就業規則の不利益変更の際,個別労働者への周知義務を履行したか)についての判断
(1) 前記認定事実等(6)セ記載のとおり,被告は,平成24年12月26日,本件退職手当規程の改正を決定し,同月28日までに改正後退職手規程の内容及び退職日・勤続年数・退職理由(自己都合と定年)毎の具体的な支給率を記載した早見表が添付された電子メールを被告の各職員に送信したと認められる。また,被告は,掲載開始時期は不明であるが,被告のウェブサイトに改正後退職手当規程を掲載したことが認められる。
 なるほど,上記電子メールによる情報提供は,改正後退職手当規程の施行直前であったことが認められるが,被告は,平成24年度末定年退職者に対し,同年9月27日には,国家公務員退職手当法の改正に準じて本件退職手当規程も改正され,それに基づいて退職手当額が算定される見込みであることを知らせ,同年11月29日には,上記計算方法により算定した具体的な退職手当見込額を知らせていること,被告は,本件組合に対し,同日,本件退職手当規程の内容を知らせ,これに関する要望の有無を問い合わせ,さらに,同組合との間で,同年12月21日には団体交渉の予備的打合せを,同月25日には団体交渉を行っていること,本件退職手当規程の改正内容は,退職手当の調整率を段階的に引き下げることにより退職手当を減額することを主な内容とするものであり,被告職員は,改正後退職手当規程によって自身に適用される労働条件の変更の具体的な内容を理解できるものであることを併せ考慮すると,原告らを含む被告職員は,これらによって,従前から本件退職手当規程の改正予定及びその内容を知り得る状態に置かれており,上記電子メールの配信により改正後退職手当規程 の存在及び内容を確知し得る状態になったと評価するのが相当である。
 以上によれば,被告は,原告らを含む被告職員に対して,これ を「周知」(労働契約法10条労働基準法106条1項)させる手続を採っていたものと認めるのが相当である。
(2) これに対し,原告らは,①決定通知は電子メールという極めて杜撰な手段であり,周知は形式的にしか行われておらず,かつ,②不利益を避けるための退職すらも不可能な時期に行われたものであって,実質的な周知がされたとは評価できない旨主張する。
 しかしながら,①「周知」は,事業場の労働者集団に対し変更内容を知り得る状態に置けばよいのであって労働契約法上限定された方法に限られるわけではないから,周知が電子メールによりされたことをもって周知がされていないと評価することはできないし,②就業規則の変更の際に労働者への周知が求められている趣旨は,就業規則に労働契約内容を規律する効力を与える以上,それを法規範として適用対象となる労働者に周知させていたことが必要であるからであり,不利益を免れる手段が実質的になかったとの理由で周知が実質的になされていないと評価することもできないというべきである。
 以上によれば,原告らの主張するところは,いずれも上記(1)の認定判断を覆すには足りない。

第4 結論
よって,原告らの請求は,いずれも理由がないから棄却する。
 佐賀地方裁判所民事部
   裁判長裁判官  立川 毅
   裁判官     村松 多香子
   裁判官     神本 博雅
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