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メディアどうしの仲間意識,日米の違い [メディア・出版・アート]

img550p40.jpg前の記事の続きです.参院選も終盤を迎え,メディアの伝え方がこれに大きく影響します.メディア関係者がどれほどこの本を読まれているか分かりませんが,とても重要な示唆を与えていると思います.アメリカの状況についての記述から引用します.応援のクリック歓迎

ニューヨーク・タイムズの記者が2005年頃ブッシュ政権からひどい弾圧を受けた事件について詳しく書かれた後,別の会社の例が次のように書かれています.

アメリカ司法省によるAP通信記者盗聴事件
アメリカでジャーナリストが当局から弾圧を受けたケースは、ニューヨーク・タイムズにとどまらない。13年5月には、司法省が複数のAP通信記者の自宅の電話や携帯電話、オフィスの電話の通話記録、メールの内容を調べた事実が発覚した。
テロリストがイエメンで飛行機に爆弾を仕掛けようとし、CIAが事前に把握してテロを止めた。CIAとしては、テロの計画が存在したこと自体を「なかったこと」にしたかった。イエメンにいる誰かがAP通信に内部告発したことを、司法省は問題視した。だからAP通信記者の情報源を探し出し、告発しようとしたのだ。
この事実が明るみになったと、ワシントン・ポストをはじめあちこちのメディアがこぞって司法省を非難した。いわゆるリベラルメディアだけでなく、「アメリカの産経新聞」とでも言うような極右的なメディアのFOXニースでさえ、このときは司法省を非難した。
なぜ他のメディアが司法省を批判し、AP通信を守ろうとするのか。「今回はAP通信の記者がターゲットにされたが、何かあれば次は自分たちの番だ」とわかっているからだ。彼らが立派な理想のためだけにAP通信を擁護しているとは限らない。自分たちの利益を守ることも含め、危機感をもって司法省を非難し、ジャーナリズムを守ろうとしているのだ。

右派メディア「FOXニュース」も受けた言論弾圧
先ほど触れたFOXニュースにも、ニューヨーク・タイムズやAP通信と同じく権力の弾圧を受けた過去がある。FOXニュースは09年、北朝鮮の核実験についての秘密情報を手に入れて報道した。
AP通信の事例では情報源は誰も摘発されずに済んだが、FOXニュースについては記者の電話やメールの記録が調べられ、情報源が特定されている。FOXニュースのディープ・スロートは、国務省のスティーブン・キム上級顧問という安全保障の専門家だった。彼は当局に逮捕され、13カ月間も刑務所に入れられている。
このときも左右のイデオロギーに関係なく、他のメディアは軒並みFOXニュースを支持して当局を批判した。言論の自由を守るため、極端な右派メディアであるFOXニュースであっても支持したのだ。日本で言うならば、産経新聞が権力から弾圧を受けたとき、朝日新聞も読売新聞も毎日新聞も東京新聞も、こぞって産経新聞を支持するようなものだろう。
・・・中略・・・
少なくともアメリカでは、朝日新聞が政権から攻撃を受けたときに他のメディアが政権と一緒になってパッシングするような状況は、私の知る限り見たことがない。ジャーナリスト同士が潰し合いをするなど、言論の自由の自殺行為であり、愚かな同士討ちでしかないと皆がわかっているからだと思う。ウォール・ストリート・ジャーナルはやや右寄りの保守系メディアだが、だからといって左寄りのメディアが不利な立場に立っているときに攻撃するようなことはない。
14年に朝日新聞が慰安婦関連の記事取り消しで紛糾しているとき、産経新聞や読売新聞が安倍政権と一緒になって朝日新聞を攻撃していることに、私は心底驚いた。政権から攻撃されたとき、ジャーナリストはお互いに協力して守り合わなければならない。ジャーナリスト同士の横のつながり、連携、仲間意識をもたなければ、 大きな力をもっ政権からの攻撃に抗することはできない。政権と一緒になってジャーナリストを攻撃しているようでは、いずれ必ず自分たちが損することにな。「言論の自由」「表現の自由」こそ、ジャーナリストが第一に守るべき最も重要な砦なのだ。

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