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黄砂と放射能 [反核・平和]

whitesun.jpg朝,通勤するときに,曇っていないのになぜ空がどんよりしているのかと思ったら,ニュースで黄砂だと言っていた.4校時の授業も終わった頃,廊下の窓から西の空を見ると,見たこともないような太陽が大学のビルの陰に沈もうとしていた.あわててカメラを取りに部屋に戻った.まるで月のような,白い,まぶしくない太陽.(右の写真はクリックで拡大)

もっといい写真をと外に出ると,学生が2人,ケイタイで写真を撮っていた.私も写真を撮りながら,「珍しい風景だね」と話しかけると,「あれ月ですか?」と意外な反応.「月は2つもないと思うが・・・」と,南天の上弦の月を指さした.月が出ているのに気がつかないにしても,太陽を月と間違うとは・・・.だいたい満月が夕方の西の空に出るはずがないではないか.高校の地学の教育はどうなっているんだろう・・・.地学・理科教育に応援のクリックを
SANY0068w540.jpgさて,「春の風物詩」が秋にも現れたなどと,もっぱら文学的に受け取ってばかりはいられないようだ.ある文通団で知ったのだが,最近の黄砂には放射能が増えているらしい.ネット検索をしてみると気象庁気象研究所の「環境における人工放射性核種2007」という文書が見つかった.その5章,「環境における人工放射能50年:90Sr、137Cs及びプルトニウム降下物」というところに,国内で観測される放射能と黄砂との関連性が述べられている.そこの,「最近の降下物中のプルトニウム」というバラグラフから引用する.
過去5年間のプルトニウム年間降下量を比較すると、2000-2002年は高く、1999と2003年は低い年間降下量が観測された。この傾向は黄砂の出現頻度の経年変動と一致している。一方、つくばにおける月間239,240Pu降下量は毎年類似の季節変化を示す(Fig. 23)。特に、年間降下量が大きな年は明瞭な春期の降下量極大がみられる。春期の極大の出現時期は、日本における大陸からの風送塵(黄砂)の飛来の時期と一致している。2006年の春期には、2000-2002年と同程度の高い降下量が観測された。これらの結果は、過去20年つくばで観測されている239,240Puのかなりの部分は大陸由来の風送塵に由来する可能性が高いことを示唆している。さらに、プルトニウム降下量の地理的分布を調べた所、黄砂発生域に近い韓国(テジョン)で高い値を、日本では黄砂の影響が顕著な長崎で比較的高い値が観測された。また、高感度ICP-MSで240Pu/239Pu同位体比を測定した所、グローバルフォールアウト由来であることが明らかになった。 2007RI5-14.JPG
このような結果から、最近の降下物中のプルトニウムの起源として、土壌粒子に付着した人工放射能の再浮遊が主要であると考えられている。特に、つくばで観測されている降下物中の人工放射性核種(137Csなど)の起源として黄砂が重要であるとの仮説を提案してきている。
もちろん黄砂の放射能は,中国の核実験がその主な原因だろう.アメリカや旧ソ連の核実験による被害はかなり明らかにされて来ているが,中国のそれは未だに全くと言っていいほど光が当てられていない.あれだけの回数と規模で地上での核実験が行われたのだから,黄砂への影響もさることながら,住民への被害も相当なものと推測される.しかし日本の環境団体や反核運動,市民運動はこれを取り上げていない.この問題を提起するサイトが見つかったが,例の田母神氏を持ち上げるグループだった.
http://junta21.blog.ocn.ne.jp/blog/2010/08/85_295d.html
このような状況は困ったものだ.まともな市民団体や平和運動も,できるだけ早くこの分野,つまり中国の核実験被害問題に「参入」すべきだ.
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