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アイゼンハワー大統領が指摘したもう一つの「脅威」 [社会]

西日本の10月28日の「文化」欄に,辺見庸の「キノコ雲とバラード 映画よりブラックないま」という文章があった.随時掲載の「水の透視画法」というシリーズである.スタンリー・キューブリックの映画「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」をとりあげ,これと最近のオバマ政権として初めて実施した臨界前核実験とを結びつけて,「オバマはいかにして心配するのを止めて核兵器を愛するようになったか」と皮肉っている.さらにはこれに「理解」を示す仙石官房長官の発言をとらえて,「日本はもはや戦争と核をテーマとしたいま風ブラック・コメディーの哀れな端役にすぎない」とも.そして,アメリカだけでなく,「中国もロシアも国家構造が日に日にグロテスクな軍産複合体化しつつある」と警告している.

「軍産複合体」という言葉は,アイゼンハワー大統領の離任演説(関連記事)で有名になったものだが,彼は「新たな種類ないし度合いの脅威」として軍産複合体と並んでもう一つの脅威を指摘している.それは科学技術エリートによる支配である.
私たちは科学研究と発見を当然敬意を持って扱いますが,しかしその際に,公共の政策それ自体が科学技術エリートの虜となるかもしれないという逆の同等の危険性もまた警戒しなければなりません.
臨界前核実験にしても,軍産複合体のなせるわざというだけでなく,それを計画し実施する科学者・技術者たちがその「必要性」の理屈も同時に発明し製造し,売り込んでいるのではないか.このような状況はわが国でもいくつも見られると思う.古くは原子力船「むつ」に,そして今は「プルサーマル」や「もんじゅ」に.
アイゼンハワー大統領の離任演説(対訳)
1401577.gif2021年2月追記:アメリカの軍産「学」複合体に関する本「米国の科学と軍産学複合体 ――米ソ冷戦下のMITとスタンフォード」が刊行されました。
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