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YouTubeへのコメントに対する返事---ミサイル防衛問題 [反核・平和]

PAC3反対行動など,スターウオーズ(ミサイル防衛)反対のYouTube動画に対して,PAC3支持の人たちから短いコメントがいくつか書き込まれています.たとえば次の動画に対して:
http://www.youtube.com/watch?v=cQBsZyue0Ck

YouTubeのコメント欄の書き込みがなぜかうまく行かないので,また,短い文章ですむ話しでもないので,ここに書くことにします.
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もともと長距離ミサイルに対しては防御はしない,ないしは限定的にしか防御しないという考え方だったわけで,これが「弾道弾迎撃ミサイル制限条約」(ABM条約)として米ソ間に1972年に締結されました.これは,先にミサイル攻撃すると必ず報復を受けるとすれば,互いに手出しできないということで,つまり核戦争を始めにくく,起こりにくくするためのひとつの「約束」だったわけです.この考えは「相互確証破壊」(MAD)という名で呼ばれました.

現在の「ミサイル防衛」(MD)の考えはこれに全く反するもので,もともとレーガン大統領が「スターウオーズ」という名前で打ち出したものと同じです.もし相手国のミサイルを完全に,またはほとんど打ち落とせるとなると,先制攻撃をやったら勝てるという誘惑が生じます.つまり核戦争を起こりやすくするシステムだと思います.もちろん「相互確証破壊」も非常に危なっかしいものではありますが,しかしMDはこれをより不安定にし,もっと危険な状況にするのではないでしょうか.
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当然相手国はそのような恐怖,つまり先制攻撃を受けるのではないかという脅威を感じるでしょう.日本側には迎撃ミサイルしかないのではなく,在日米軍を中心として圧倒的な攻撃力があるのですから.その恐怖は相手国の軍拡を促し,またその正当化の理由を与えることになってしまいます.

それに,PAC3は,市民を守るため,町や集落を守るためというより,おそらく軍隊の基地や施設を守るために使われるでしょう.

都合よくPAC3の射程内に飛んでくるミサイルは撃ち落とせるかも知れない,そしてその防御範囲内にたまたま自分の家も入っているかも知れないという理由で,PAC3が安全に役立つというのは,むしろ特別な状況だけに視野を限定してしまう態度ではないでしょうか.それ以前に,全体として地域の軍事的緊張を高め,ミサイル戦争を起こしやすくしてしまう,そのリスクの方がはるかに重大ではないでしょうか.
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コメント 3

wa

>それに,PAC3は,市民を守るため,町や集落を守るためというより,おそらく軍隊の基地や施設を守るために使われるでしょう.

PAC-3はそうですが、イージス艦搭載のSM-3なら日本全土を守れます
当然市民を守ることを前提としています

>当然相手国はそのような恐怖,つまり先制攻撃を受けるのではないかという脅威を感じるでしょう.日本側には迎撃ミサイルしかないのではなく,在日米軍を中心として圧倒的な攻撃力があるのですから.その恐怖は相手国の軍拡を促し,またその正当化の理由を与えることになってしまいます.

いえ、その心配は杞憂です
ロシア通信社ノーボスチの記事にこうあります

日本は、その米ソの協定に何らの関係も持っていない。他方、日本には、核抑止のためにまったく何も手段を持っていないが、起こり得るミサイル攻撃から自国を守りたいという希望があることは十分に理解できる。ましてや、アメリカと共同で日本が創設したミサイル迎撃体制は基本中の基本である専守防衛の域を超えていないのだから。
ttp://jp.rian.ru/analytics/politics/20071227/94296040.html

だいたい在日米軍は日本が攻撃を受けた後に反撃するための部隊であり、
日本の意思で先制攻撃、ましてや先制核攻撃などできるはずがありません
そのことは日本の仮想敵国も十分認識しています
by wa (2010-05-02 09:01) 

isao-pw大城 勲

PAC3の迎撃能力に付いては私が以前に検証したデータが有ります。
敵ミサイルの着弾地点直下からしか命中しませんし仮に命中して標的の破壊に成功しても散乱した破片の落下で周辺の民間地域には危険性が拡大する事になります。
SM-3を含むMDシステムは米国軍需産業の利益を確保する目的で日本を含む同盟国への売り込みが盛んですが米国自体はPAC3、SM-3よりも有効な防御能力を持った宇宙空間配備の万全なシステムを構築しているのは周知の事実です。
当然ながら安全保障上の最高軍事機密として情報は秘匿されていますが中国が実施した衛星破壊実験は正に同様のシステムであり、米国が強硬に非難した理由も明白です。

by isao-pw大城 勲 (2010-05-02 22:21) 

yamamoto

ロシアの通信社の記事をご紹介いただきありがとうございます.3年前の時点とは言え(この時点でPAC3配備は東京のみ),引用された部分に見られる好意的な受け取り方に少しほっとしますが,でも一方で次のような文章もあります.
「モスクワと北京はすでに、地域の軍拡を必然的に駆り立てる東京の計画に対して懸念の意を表している」
「日本がこのようにアメリカと組んでミサイル迎撃を推進している状況は、明らかに、他の諸国にも影響を与えている」

> だいたい在日米軍は日本が攻撃を受けた後に反撃するための部隊であり、
日本の意思で先制攻撃、ましてや先制核攻撃などできるはずがありません


これはいかがなものでしょうか.沖縄の米軍の一部は,アフガンやイラクへの「先制攻撃」に参加したのではなかったでしょうか?ファルージャの惨状はその結果の一つです(末尾参照).

相手国は,言葉よりも軍備の現物を最重要の判断基準とするでしょう.在日米軍の存在だけでなく,自衛隊が足の長い戦闘機やGPS誘導爆弾を取得し続ける状況と組み合わされた「ミサイル防衛」は,やはり脅威に感じるのではないでしょうか.

(参考)ファルージャについては,たとえば次の高遠菜穂子さんのブログ記事や,中日新聞のニュースをぜひご覧下さい.
http://iraqhope.exblog.jp/12346791/
http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20100418/CK2010041802000024.html
by yamamoto (2010-05-02 23:10) 

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