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「会社,辞めました」 [社会]

卒業生が研究室に訪ねて来た.いきなり「会社,辞めました」と言う.聞くと,深夜までの「サービス残業」というひどい労働環境.組合は会社と一体のようで,話にならないという.労基署に相談に行ったが,担当者はあまり真剣に応対してくれなかったそうだ.その会社というのは名前もよく知られた中堅の建設・建築関係の企業だ.「派遣切りといい,サービス残業といい,どうしてこんなひどい世の中になったんだろうね」と言うしかなかった.

同じようにひどい労働条件,環境に耐えかねて離職した若者を身近に知っている(その親会社は世界の一流企業).離職ではないが,労基署が調査に入ってから残業がなくなり劇的によくなったという話も聞いた.これらから察知されるのは,未だに「サービス残業」などという無法がまかり通っている,蔓延しているということだ.

結局は労基署の問題だ.狙いをつけて査察し,違法行為には一罰百戒で臨めば,たとえ少ない職員数でもサービス残業を一掃することは簡単だろう*.全部を摘発する必要はないのだ.何しろ権力を持っているのだから,本気だということを知らしめれば,にらみ,「抑止力」が効かせられる.まずは,権力を適正に行使しないこの役所の怠慢を告発する必要があるだろう.このような,違法であからさまな搾取を止めさせるだけでも,雇用機会は増えるはずだ.
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全国労働基準監督署の所在案内(厚労省サイト)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/location.html
これを管轄する都道府県労働局の所在地一覧(同上)
http://www.mhlw.go.jp/general/sosiki/chihou/

この件でもう一つ気になったのは大学の役割だ.大学は学生の就職を応援するべく,そのための資料やネット端末を備えたコーナーや部屋を作ったり,「就職講演会」を開くなど,さまざまの活動をしている.しかしその結果がこれではあまりにも空しい.そこで,このような企業の実態に関する負の情報も収集,整理して,学生に提供すべきだろう.わざわざ組織的に取り組まなくても,教員らが卒業生から得た私的で非公式な情報を収集,整理して,提供可能にするだけでいいだろう.もちろん学生への情報提供も「非公式」に.もし体制が整備されれば,公式な提供として企業を評価し,違法企業一掃への一助という「社会貢献」も出来るかも知れない.

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* 警察は飲酒運転者を全員検挙しているわけではない.しかし最近の罰則と取り締まりの強化で劇的に減っているはずだ.これと同じだ.
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