SSブログ

韓国映画「愛 サラン」の感想 [メディア・出版・アート]

love.jpg(ネタバレ防止対策済みです.)
単なる恋愛ドラマではない.社会性を持った骨太な作品と見た.

映画の縦糸となるのは「暴力」である.これは,現実世界のかなりの部分を暴力が支配しているということを反映するもので,つまりこの映画の社会性を示しており,それ以上ではない.主人公の小学生時代の級友との喧嘩に始まり,成長し,社会と関わりを持つにつれて,社会の「構造的暴力」もスクリーンに姿を現す.(この映画とは関係ないが,社会の暴力はさらに大規模で顕在的な,工業化された暴力・殺人,すなわち戦争事業へとつながっていく.)応援のクリック歓迎 (1日1回まで)

暴力と言えば,この映画で表現される男の性の(潜在的な)暴力性,邪悪性には,同じ性の人間として暗澹たる気持ちになる.また,これを体現する人物の悪役ぶりが余りにもみごとなので,こいつ(俳優!)に対するホントの憎しみがわいて来てしまうし,人間の邪悪さ,あるいは邪悪な人間とは何かということについて,ほんとに考え込んでしまう.

3年前の「ストーンウォーク」というイベントについてこのブログでも何度か取り上げたが(→記事の一例),その時のアメリカ人ウォーカーの一人,ドット・ウォルシュさんは,刑務所で受刑者の更生のための仕事をしていた人だった.道中,ストーンを押しながら話をする中で彼女は,自身の経験から得たこととして,生まれつき邪悪な人間はいない,邪悪さは育つ環境によって作られる,と力説していた.

そうだろうと思いたいが,この悪役の演技が余りに真迫し過ぎていたためか,彼女の話を思い出しながら,「ホントにそうだろうか?」などと考えてしまった.

主人公の友人が,役柄も俳優もとてもホッとさせるキャラクターで,この人が登場すると画面がグッとなごむ.

以前に紹介した「マルチュク青春通り」も暴力が大きな位置を占める映画だった.

いろんなことを考えさせるいい映画だった.

公式ウェブサイト
http://www.cinemart.co.jp/han-fes2008/au_movie/20080712002119.html
nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(2) 

nice! 0

コメント 1

yamamoto

記事中のドット・ウォルシュさんに,彼女がディレクターをつとめるピース・アビーの人物紹介欄へのリンクを付けました.
by yamamoto (2008-11-30 11:10) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

トラックバック 2