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ラサの抵抗に日本の左翼は? [社会]

チベット問題について私は何か調べたことも,本を読んだこともなく,全くの「B層」なのだが,それでも(だから?)今日の温家宝首相の「ダライ・ラマの策動」という発言はウソっぽいと感じる.やはり映像のもつ情報量と言うべきか,彼の表情を見るととても真実を語っているとは思えないのだ.それに比べてダライ・ラマの映像と言葉には説得力がある.このような感想は,左右を問わずわが国のメディア視聴者のほとんどが持っただろう.
この見方が正しいかどうかは,個人や独立系ジャーナリズムを含む海外メディアが現地に入って,取材をして,それが報じられて初めて検証されるものだろうが,それを待つわけにはいかない.ブロガーとしては,少ないながらも持ち合わせた知識と「勘」を働かせて,何か発言しなければならないと思う.

中国がメディアに対して現地を閉鎖しているというだけで圧倒的に不利であり,武力弾圧の容疑にたいして「推定有罪」と判断せざるを得ない.そのような前提で見たとき,中国共産党や中国政府に対する日本の左翼の態度には気になる点がある.左翼と言っても,以下では共産党と「しんぶん赤旗」に限った議論だが.

しんぶん赤旗は,事件が起こった当初はほとんど中国政府寄りであったが,今日(18日)の朝刊ではだいぶ中立的になってきた.それでも一般メディアに比べると,中国政府の武力弾圧や人権抑圧に対する懸念が弱い.

今でこそあまり見られなくなったが,日本共産党と中国共産党との関係が修復した直後は,しんぶん赤旗で「日中両党」という言葉がよく見られた.これは,共産党以外の外国の党との間で使われた例を知らないので,おそらく「日中両共産党」の短縮形というニュアンスが強いと思われる.しかし中国共産党はほんとうに「共産主義」の政党なのだろうか?

経済面では資本主義を推進し,民主主義の面では人権意識も低い.このような党とあたかも「友党」であるかのような態度をとることは,みずからのreputation(評判)を,したがって支持率を非常に下落させるものだが,それをどの程度強く意識しているか気になる.しんぶん赤旗で中国や中国共産党に少しでも批判めいた記事を見つけることがほとんどできないのだ.

共産党という名前が同じというだけでは,特別に関係を親密にしなければならない理由にはならないだろう.名前が似ていると言えば,アメリカの共和党も(英語名は別として),日本共産党と「共」という文字を共有しているが,「日米両党」が特に親密な関係にあるわけではない.

日中関係の過去の歴史における日本の負い目は,日本側の沈黙や卑下ではなく,(かつての対立時の日中「両党」関係のような)忌憚のない批判によってこそ償えるだろう.

別件追記:17日夜の「ニュース23」に,イギリスのブレア前首相が出演していました.「ミサイル防衛」反対で活躍している杉原浩司さんが,戦争犯罪人だから「本来であればブレアの身柄をただちに確保してICC(国際刑事裁判所)に訴追すべきところ」とメールリストで述べていました.全くそのとおりですね.かつてイギリス自身が,チリの独裁者ピノチェトをスペインの要請を受けて逮捕拘留しました.ブレアの犯罪はピノチェトに勝るとも劣らないでしょう.
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通りすがり

他のブログのコメ欄になるほどと思う説明があったのでコピペしときます。
もちろん公式の見解ではないでしょうけど。



チベットの問題は単純に民族独立運動とそれを弾圧する中国共産党という図式だけにとどまらない複雑さを抱えています。
ダライ・ラマと統一教会の不透明な癒着関係のみならず、チベット蜂起軍をCIAが積極的に武器提供・訓練・人的動員をしてきたことが明らかになっていますし、ダライ本人も大量の資金援助を受けた実質的なCIAエージェントであることを認めています。
こうしたことを踏まえたとき、事態の詳細・実質的な背景を把握せずに弾圧として非難を向けることを日本共産党が避けるのは当たり前。
加えて、日本の公党が日本人ないし日本領土とかかわりのない他国内での問題(歴史的経緯云々ではなく、現在国際法上どこの領土であると「認められて」いるかという観点から)を、外交のテーブルなどの意見交換の場ではなく機関紙上でいきなり批判を展開するのは許されない。
これが内政不干渉の問題、すなわち単なるジャーナリズムではなく公党の機関紙が通すべき筋の問題です。
これは例えば、アメリカの大統領選挙についての報道でも、同様の立場を貫いています。党としての主張を述べるのではなく、あくまで事実を追い、アメリカ内部での意見などを紹介するという形を取るなど、赤旗は慎重に内政干渉を避けています。
もし日本共産党がチベット問題に関して中国に意見を言うとすれば、それは日本国民に向けた機関紙ではなく、野党外交としてのチャンネルを通じて直接意見交流を行うのが前提になるでしょう。

ちなみに日本共産党がいまさら中国共産党におもねる必要性など皆無です。日本共産党が日本の党として言うべきことに沈黙してまで中国共産党と良好な関係を維持することのメリットはなにもありません。ただ上記の筋を通すのみでしょう。
by 通りすがり (2008-03-25 12:48) 

ヘイマーケット

この様なブログを見つけました。

それでもチベットを支持するべきか
http://hibinoawa.blog10.fc2.com/blog-entry-668.html

ある国の人権問題に国際社会が介入する時、そこには公平性がなければならないし、政治的道具に使われてはいけないハズです。不透明な国際問題ですから自称「B層」などと言って世間の雰囲気に流されずに、まずは反中バイアスがかかっていない様な情報を集めましょう。

ブレアはICCに訴追すべきだと、私も思います。

by ヘイマーケット (2008-03-28 06:26) 

Runner

>チベット問題について私は何か調べたことも,本を読んだこともなく,全くの「B層」なのだが,

日刊ベリタでユンゲヴェルト紙の記事が読めますよ。
日本のマスコミは今回はまったくダメです。仕事してません。

http://www.nikkanberita.com/

しかし、こういう情報を有料閲覧にしてしまうのですから、日刊ベリタも困ったもんです。
by Runner (2008-04-05 10:34) 

yamamoto

4日の記事のコメント欄に少し長く書きました.
by yamamoto (2008-04-05 21:00) 

Runner

ベリタのドイツ紙記事が有料閲覧なので、どこか読めるサイトはないかと調べたところ、下記ページの方がいろいろ集めておられました。
(引用・転載部分とご本人の著述部分とが若干見分けにくいかも知れません)

http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/7500dd4ee345d6ad095df983ca5328ca

さて、私はチベット独立の是非と今回の抗議行動の是非とは別けて論じるべきだと思います。

独立に関してはチベット人の多数意思であれば民族自決権の観点から支持しますが、果たして、このタイミングでこのような抗議行動が適切なのかは疑問に感じています。

既に多くの死者が出てしまったようですし、五輪の政治利用ということにスポーツファンが反感を抱くことも予想されます。(それを防ぐために、ダライ・ラマは五輪支持を表明しているのでしょうけど)
また、最近の中国人は「右翼の台頭」といってよいほどナショナリズムが高揚していますから、もし、五輪がコケコケ大会になるような事態になれば、チベット人に対して激しい民族的憎悪が沸き、これまでの「中国政府対チベット人」という図式が「漢人対チベット人」という図式へ変化してしまい、ヘタをすると、血みどろの民族抗争へ転落しかねないと思います。

そう考えると、やはり、CIAの関与などを疑わざるを得ません。
by Runner (2008-04-07 22:41) 

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