「母べえ」と「善き人のためのソナタ」- - 自由にものが言えない世界 [メディア・出版・アート]

ただし,最後の5分ほどの現代シーンはいただけない.取って付けたようで,誰が誰かがわかり始めた頃,終わってしまう.だいいち戸田恵子をこんなチョイ役で使うなんてけしからん.
自由にものが言えない,実に恐ろしい社会であり,時代であったわけだが,同じような社会状況に取材した作品に2006年制作のドイツ映画「善き人のためのソナタ」がある.これは「母べえ」よりずっと時代が下って,というより,つい最近までそうであった旧東ドイツの監視社会を描いたものだ.これは映画館での公開は見逃し,一週間ほど前にDVDで観た.
これもまた優れた作品だ.悪役側の主人公であるシュタージの職員が,善玉側のもう一人の主人公の劇作家を盗聴するというシーンが大部分を占める.このシュタージ職員を演じたウルリッヒ・ミューエという人は東ドイツ時代からの有名な俳優で,何と彼自身がシュタージの監視の対象となっていたらしい.それどころか,その彼の密告者は妻だったとのこと.
下で紹介するサイトの受け売りだが,ドイツの教育関連の公的機関*は,「当時の監視組織が振りかざしていた権力と,内部の倫理的な葛藤を実によく描いている」として,この映画を授業の教材として使用することを薦めているそうだ.同じようなことはまさに「母べえ」にも言えると思う.
1940年代の日本社会が持つ問題性は決して過去のことではなく,常に今日的な問題だと思う.とんでもないことだと気づいていながら,それに対する「異論」を口にする勇気を欠き,あるいは怠り,そのため,例えばアメリカとの戦争という,破滅の道へと進んでいく.これは,規模やテーマこそ異なるが,今まさにわれわれのまわりで,それぞれの「業界」で,日々進行していることではないのか.その時に,個人の責任に目をつぶる時の合い言葉はもちろん,「シカタガナイ」である.
「母べえ」公式サイト
http://www.kaabee.jp/
「善き人のためのソナタ」の公式サイトは見つからないが,次が詳しい.
http://allabout.co.jp/travel/travelgermany/closeup/CU20070131A/index.htm
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*「連邦政治教育センター」.わが国も,(改悪の前も後も)教育基本法で政治教育の重要性を謳っているのだから.このような機関を作ったらどうだろう.それとも,そんな機関ができたら,今のこの国の状況では,国家主義教育の推進センターになってしまうのだろうか.



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はじめまして。私のブログにTBしていただいてありがとうございました。
私も最後の現代の部分が変だったなと思います。吉永さんが若いままだったのもおかしかったです。
「善き人のソナタ」もDVDでぜひ見てみます。
by coco030705 (2008-02-22 21:58)
ベルリン国際映画祭で賞を逃したのは,ひょっとしたら最後の数分間のシーンのせいかも・・・なんてことはないでしょうが.それにしてもあの二人の子役はすばらしかったですね.どなたかのブログで,姉の方の「初べえ」役の志田未来の演技を「神の域」というような言葉で褒めていましたが,笑福亭鶴瓶演じる叔父(?)のデリカシーを欠いた言葉(今で言うセクハラ)に傷つくところは実に真に迫っていました.「母べえ」の父親役の中村梅之助の俗物ぶりも見事で,彼の周りの当時の世間をリアルに表現していたと思います.
by yamamoto (2008-02-23 00:08)
始めまして。拙ブログに、トラックバックありがとうございました。
by のら (2008-02-23 21:01)
はじめまして。TB、ありがとうございます。
気になっている映画です。早く見たいのですが・・
TBができないので、リンクします。
http://euridiceneeds.blog.so-net.ne.jp/2007-11-03
by euridice (2008-03-02 18:27)