教科書検定審議会メンバーの個人責任 [社会]
残念ながら私は見ていないが,昨夜の「クローズアップ現代」は沖縄戦を取り上げた優れた番組だったようだ.沖縄戦での集団自決が軍の命令ではなかったなどという趣旨の教科書の書き換えが問題になっているが,教科書検定審議会(正式には教科用図書検定調査審議会)に文科省からその旨の指示を出していたことが暴露された.
沖縄タイムス2007年6月15日(金)記事
文科省が削除要求 「集団自決」修正
文科省の責任とともに,この指示をそのまま鵜呑みにしてしまった審議会メンバーの個人責任も問われなければならない.上記の記事にはこれがいつの審議会のことか書かれていないが,おそらく06年度の委員と思われる.その「社会部会」の名簿を,文科省のサイトから取ってきて編集したものを下に掲示する.
かつてある閣僚クラスの政府高官を経験した人から,「審議会」メンバー選びの裏話を聞いたことがある.リベラル的な人も混ぜるが,その人に都合が悪いような決定をする時は「トイレに立ってくれるような人」を選ぶのだそうだ.
第二部会(社会)→連絡先付きエクセルファイル
17年(18年も以下の全員が審議会メンバーなので,部会間での移動がなければ同じ構成になる.)
紀平 英作 | 京都大学大学院教授 |
宮地 忠明 | 国立音楽大学教授 |
栗田 充治 | 亜細亜大学教授 |
高橋 文博 | 岡山大学教授 |
山田 卓生 | 日本大学教授 |
山本 孝宏 | 弁護士 |
杉本 良男 | 国立民族学博物館教授 |
栖原 彌生 | 愛知県立大学名誉教授 |
村木 逸子 | 嘱託(都立鷺宮高校) |
太田 公 | 杉並学院高等学校講師 |
谷 聖美 | 岡山大学教授 |
天児 慧 | 早稲田大学教授 |
渡辺 真知子 | 明海大学教授 |
二木 謙一 | 國學院大学教授 |
波多野 澄雄 | 筑波大学教授 |
廣部 和也 | 成蹊大学教授 |
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2007-06-22 08:13
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コメント(7)
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私は1928年生まれで、ドイツ文化社会史の研究者です。自分の体験から、また研究者としての経験から、「集団自決」の削除はどんなことがあっても容認でsきません。文科省の官僚たちはもちろん、教科書検定審議会のメンバーにはまともな歴史認識がありません。かれらはほとんど人間としても失格だと思います。
by 林 功 三 (2007-07-01 20:22)
検定制度自体が問題としても,この種の委員の人たちに,自分たちが注視されているのだという感覚を与えると,少しは振る舞いを変える人もあるかも知れません.コメントありがとうございました.
by yamamoto (2007-07-01 22:16)
メンバー表ありがとうございます。
責任逃れをする文科省が裏で自分たちに都合の良い方向にだけ意見をまとめてあたかも国民のためという態度をとっていますが,自分たちと国民があまりにもかけ離れていることに本当に気づいていないのでしょうね。「国民のための政治」という民主主義の根本がないがしろにされてきた結果でしょうね。誰がメンバーなのか,そのメンバーがなぜ選ばれたのだろうか。そういうことを考えるのに役立つメンバー表でした。どうもありがとうございます。
by 1950年以降の文科省にいつも疑問を感じている一人 (2007-10-02 23:29)
追伸
時々遊びにきますね。
by ’50以降の文科省に疑問を持つ一人 (2007-10-02 23:33)
今日(2日深夜)のニュースゼロに,上のリストにある波多野と言う人(だったと思います)が出ていました.ほんのちらっと見ただけでしたが,「十分審議する時間がなかった」などと言い逃れをしていたようです.責任を持てる審議ができないのならなぜ委員を引き受けたのか,手当を受け取ったのか,それこそ「説明責任」が問われます.
コメントありがとうございました.
by yamamoto (2007-10-03 00:25)
文科省の教科書調査官に焦点を当てた記事がブログ「薔薇、または陽だまりの猫」にありました.
転載 ブログ「世界の片隅でニュースを読む〜教科書改竄の黒幕」
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/2cc9ec9d23a4828eca56212347c7098d
この「改竄」に関与したと思われる二人の調査官の「身元」つまり学閥を洗い出しています.
by yamamoto (2007-10-04 16:20)
今回の沖縄戦における集団自決を否定する検定意見を述べた諸氏を公開すべきである。その方にどういう根拠に主張されたかを明らかにしていただきたい。
最初に集団自決が行われた島は確か特攻艇(ベニヤ製で爆弾を積んで敵艦に体当りする人間魚雷回天と同じもの)の基地があった。私の昔の恩師がその特攻隊員であったので内容は熟知している。それは一度も実行されずに恩師は生還した。
その島ではその秘密を知る島民は邪魔であったと言われている。
大体手榴弾など一般住民が手に入れることは不可能であり、軍が関与したことは事実としか言えない。
従軍慰安婦・南京虐殺など実際にあった事実を隠そうとする政治家、学者がいるのは残念です。ここが戦後にはっきりと謝罪したドイツと日本の大きな違いと言えることです。
by 小田継雄 (2007-10-08 19:22)