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カント「永遠平和のために」の第三条項 [反核・平和]

カントの「永遠平和のために」からその「第三条項」を全文転載します.(岩波文庫,16〜17ページ)
200年以上前の著作ですが,いまこそこの下りを大いに普及宣伝し,「実用化」に移す時期だと思います.

第三条項 常備軍は時とともに全廃されなければならない
なぜなら,常備軍はいつでも武装して出撃する準備を整えていることによって、ほかの諸国をたえず戦争の脅威にさらしているからである。常備軍が刺激となって、たがいに無際限な軍備の拡大を競うようになると、それに費やされる軍事費の増大で、ついには平和の方が短期の戦争よりもいっそう重荷になり、この重荷を逃れるために、常備軍そのものが先制攻撃の原因となるのである。そのうえ,人を殺したり人に殺されたりするために雇われることは,人間が単なる機械や道具としてほかのもの(国家の)手で使用されることを含んでいると思われるが,こうした使用は,われわれ自身の人格における人間性の権利とおよそ調和しないであろう.だが国民が自発的に一定期間にわたって武器使用を練習し,自分や祖国を外からの攻撃に対して防衛することは,これとはまったく別の事柄である.ーー財貨の蓄積も,同じ危険をもたらすであろうが,それは財貨がほかの国によって戦争の脅威とみなされ,その国の財貨の保有量をほかから探索する困難さが妨げとならないかぎり,ほかの国の先制攻撃を強いる原因となりかねないからである(なぜなら,兵力と同盟力と金力という三つの力のうち,金力がおそらくもっとも信頼できる戦争道具であろうから).

全部の項目は次のようになっています.
第一条項 将来の戦争の種をひそかに保留して締結された平和条約は,決して平和条約とみなされてはならない.
第二条項 独立しているいかなる国家(小国であろうと、大国であろうと、この場合問題ではない)も、継承、交換、買収、または贈与によって、ほかの国家がこれを取得できるということがあってはならない。
第三条項 常備軍は時とともに全廃されなければならない
第四条項 国家の対外紛争にかんしては、いかなる国債も発行されてはならない。
第五条項 いかなる国家も、ほかの国家の体制や統治に、暴力をもって干渉してはならない。
第六条項 いかなる国家も、他国との戦争において、将来の平和時における相互間の信頼を不可能にしてしまうような行為をしてはならない。たとえば、暗殺者や毒殺者を雇ったり、降伏条約を破ったり、敵国内で裏切りをそそのかしたりすることが、これに当たる。

この本はネット上でもたくさんの人が取り上げていますが,どの条項についてもその全文を転載したものはないようです.次の三つのキーワードで検索すると,詳しい紹介,論考が出てきます.

 カント 永遠平和のために 第三条項

そのうちの1つのurlをご紹介します.
http://www6.plala.or.jp/Djehuti/575.htm

なお,関連の拙文「『攻められる』ことと『攻める』こととの等確率性」もご覧いただければ有り難いです.

2022/4/6追記:4月8日深夜24時から、100分で名著「永遠平和のために」の再放送があります。
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