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教科書「検定」の密室性--執筆者や出版社は全く抵抗しなかったのか? [社会]

性奴隷問題(従軍慰安婦問題)での安倍妄言による歴史改ざんに続き,今度は文部科学省による,沖縄戦に関する歴史教科書改ざんの強制が問題になっている.これまた前者同様,証言が新たに出てくるなどむしろ歴史の再認識・再確認の機会を一般に提供することになると思われる*.しかし,前者が日本の対外的な評価を劣化させたように,今度は教育の分野ゆえに,わが国の未来の世代の歴史認識を劣化させることが懸念さる.効果は遅れて現れ長期に及ぶため,より深刻とも言える.

現在の教科書「検定」制度自体が違憲であり撤廃すべきなのは論を待たない.しかし,このような不当な改ざん要求に対する事前の抵抗が全く表面に現れないというのも腑に落ちない.われわれはいつも,「検定」を合格したあとに,つまり文部科学省による「改ざん」が行われてしまった後に,この問題を知らされる.出版社や執筆者が文部科学省とのやりとりで何らかの抵抗を示し,それがメディアで伝えられれば,世論の力によってこのような“検閲”の悪弊を少しでも是正する機会があるだろう.しかし現在は,きわめて公的な性質のプロセスであるにもかかわらず,これが出版社と文部科学省との間の全くの密室談合として行われるため,その機会すら失われている.

業界やそれと文部科学省の関係におけるどのような構造が,あるいは業界人(出版社)や執筆者のどのような意識構造が,現在のような密室談合を許しているのか,ご存じの方があれば教えていただきたい.

これもやはり他の業界と同様に,お上には逆らえない,「シカタガナイ」で片付けられているのだろうか.もちろん大勢(たいせい)が体制順応であるのはいわば自然法則だが,問題は謀反者の人口比,abundance**である.これが0.1%なのかそれとも1%なのか,それによって社会の様相は激変するのではないだろうか.

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* これも低気温のエクスタシーさんが次から次に情報を提供している.また,きのうの「きっこの日記」もこの問題を取り上げた.
** 理化学用語.存在比と訳される.

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戦争を語りつぐプロジェクト:管理人

たしかに国民を無視した官僚の横暴は目に余るものがあります。
戦前戦中の軍部権力と現在の高級官僚は、自らの利権の確保・拡大をめざして国を食い潰している点でよく似ています。
その上マスコミも同類です。かつては政府が流す嘘の情報ばかり強制的に報道していたマスコミは、今は制約もないのに政府寄りの報道しかしないとすれば、官僚もマスコミも信じることはできません。
「きっこの日記」は庶民的感覚と豊富なデータをもとに情報を提供してくれますが、それでも体制に影響を及ぼすことができないのでしょうか。
ともあれ、戦争を正当化して懐かしむ政治家や大衆に、戦争の実態を知らせることが私どもの役目、と自覚しています。
by 戦争を語りつぐプロジェクト:管理人 (2007-05-07 10:41) 

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