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「指示待ち人間」を減らす [憲法・教育基本法]

教育基本法がいよいよ危なくなってきた.「審議時間」と「公聴会」さえ揃えば,議論の中味がどうあろうと,「採決の条件は整う」のだそうだ.
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=NGK&PG=STORY&NGID=main&NWID=2006113001000747

よほどのことがない限り,この国が民主主義の貴重な財産を失い,徳目を政府が決める「イデオロギー国家」に転落した未来が,わずか数週間後に待っている.

テレビCMを提案したが,「自粛」という禁じ手らしい.しかし考えてみれば,市民運動のなかでこんなことがこれまで議論されなかったことがおかしい.議論されていれば,「常識」となっていて,こんなせっぱ詰まった時期に時間を空費することもなかっただろう.

著名人である堤清二氏に,氏が理事長をしているセゾン文化財団宛にファクスを送ってこのテレビCMという提案をしていたのだが,思いがけず理事長室長の方から返事のファクスが来た.理事長への転送を依頼していたものの,果たして実際に転送されるだろうかと訝っていたが,秘書の方と二人で私のファクスを真剣に読んでくれたようだ.結論から言えば,私の懸念はよく分かるし同じ気持ちだが,懸案をたくさん抱えており,この件にまで手を出す余裕がない,とのことだったが,「禁じ手である」という認識は,堤氏にもなかったようだ.

テレビ意見広告が禁じ手であるとしても,「抜け道」,つまりテレビを利用する方法はいくらでも考えられる.「『テレビCM自粛』の抜け道」という26日の記事にも書いたように,(1)集会などの案内広告,(2)集会などをメディアのニュース報道が無視した場合,CM枠を買い取っての「自主報道」,(3)本やDVDなどの広告,というようなことはおそらく可能で,意見広告に近い効果を得ることが出来るのではないか.また,ラジオでの意見広告という手もある.ラジオは「自粛」ではないようだ.現に「ガソリン税をなくせ」というのをやっている.

「シール投票」を実施した人の話によると,市民の8割は教育基本法の内容さえ知らないということだ.この状況を急速に是正するのはテレビしか出来なかったはずだ.

たしかに多額の費用がかかるし,金が余っているという人は少ないだろう.しかし教基法改悪を憂慮する人すべてが貧乏人というわけではない.この法律がもし「買い支え」られるものならば,百億円でも安い.

また,メディアの公正さを回復させる緊急手段としての,放送局へのデモも提案したが,行われている兆候はない.大規模な集会やデモが行われても,それは一部の地方紙や「しんぶん赤旗」の中にしか存在しない.

「非常事態宣言」を出したはずの日教組は,一体全体,改悪阻止のためのどんな「非常」措置を取っているのだろうか?ウェブサイトを見ると「キャラバン」のことが出ているが,これが非常措置?!その他は集会・デモのことだけだ.

市民運動にせよ,組合にせよ,政党にせよ,リーダーたちを過信しないことが大事だ.組織に属すると「方針」はすべてリーダーにおまかせの「指示待ち人間」になりがちだ.折角の集団の英知が大量に眠り込まされ,麻痺させられる.大変な損失だ.何に気付くかは人さまざまなのだ.それらを財産として生かさなければならない.オフィスにいる人と,さまざまな現場の,あるいは街角の空気に触れている人とでは,気付くものの種類,範囲は異なるのだ.


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日本国憲法擁護連合

堤清二さんはリベラルな財界人で、私も嫌いではないです。
堤清二さんは良心的な方で、教育基本法の改悪や改憲には、この方は賛成ではないと思います。ただし、それを今日、明らかにして、反対派に協力することは、財界人としての立場としては、難しいのではないでしょうか?
なぜならばそんなことをすれば、財界から干されてしまうからです。
東大時代は共産党の活動をされたようですが、結局は資本の立場に向かわれているわけだからです。「私の懸念はよく分かるし同じ気持ちだが,懸案をたくさん抱えており,この件にまで手を出す余裕がない」ということは、そういうことではないでしょうか?結局、教育基本法改悪も改憲もブルジョアジーが市場を争奪したい立場から、戦争のできる国づくりを要請しているのが本質だといえますので、ブルジョアジー側からそれに反対するというのは、なかなか無理な話なのではないでしょうか?もちろん、そうでない方もおられるようですが。ただし、そういう人を獲得するのも重要だとも思います。
これまでは、アメリカの「核のかさ」と、「憲法」のもとで、ブルジョアジーはやってこれたが、今はそんな情勢ではなくなったと認識しているということではないでしょうか?国際貢献論やテロとの戦いとは、ブルジョアジーらの市場争奪にかける悲鳴に他ならないと私は認識しております。
私は豊島さんの熱意とアプローチを支持します。とりわけ、重要なのは参院選挙で三分の一反対派を送り出すこと、労働組合や市民運動を盛り上げることにかかっていると私は思っています。
by 日本国憲法擁護連合 (2006-12-01 07:29) 

yamamoto

堤氏はすでに財界人は引退したのではなかったでしょうか.もっぱら作家・辻井喬では?
なお,いちおう私はyamamotoですので,よろしく.
by yamamoto (2006-12-01 12:34) 

Runner

>ウェブサイトを見ると「キャラバン」のことが出ているが,

教基法改悪反対の街宣車なら見たことがありますよ。
しかし、残念ながら、悲しいくらいダサイかったです。
冗談抜きで、私は最初、右翼の街宣車かと思いました。
もちろん、道行く人たちには誰も振り向いてもらっていませんでした。

>組織に属すると「方針」はすべてリーダーにおまかせの「指示待ち人間」になりがちだ.

なぜでしょうね?
だいたい、批判すれば組織の中で糾弾されることが多いですし。
結局のところ、反対意見を受け入れられない人が多く、内部での議論を活発にすると組織崩壊につながりかねないということでしょう。
しかし、一方で自民党は内的多様性を受け入れているわけですから、何事か言わんやです。
by Runner (2006-12-02 00:47) 

busayo_dic

いじめの報告もろくに上げず、隠ぺいに加担もしていた組合員だけあって、リスクを取るのに臆病なだけ。未履修も同じ構図。

yamamotoさんは、本気で“闘争”したことがありますか?
わたしは自分の社会的存亡を賭けた闘争をblogネタとはまったく別の分野で現在進行中で行っています。blogなど手慰みに過ぎない。

“たたかう左翼”の欺瞞が、未だに保護者に見えないと思っていらっしゃるんじゃないですか?日教組などの組合員は、それがわかっているから集会しかできないのですよ。あるいは組合がこわいから従っているふりをしているだけ。

もっとリアルな現実と向き合うことをおすすめします。
by busayo_dic (2006-12-02 02:47) 

レイランダー

本気で“闘争”している人間は、他人のblogにそれを言いふらしに来たりはしないもんです。そんな暇ないですもん。
by レイランダー (2006-12-05 11:42) 

busayo_dic

だったら、うちのblogに来て発言してよ。
仲間内で慰め合うしか能のない、ヘタレじゃなかったらねw

本当と闘争しているなら、その迫力見せてもらいましょかwww
by busayo_dic (2006-12-11 22:22) 

レイランダー

僕は本気で“闘争”しているなんて一言も言ってませんよ。実際違いますから。
仲間内で慰め合うこともあるけれど、それ以外のこともあるし、ヘタレの時もあるし、そうじゃない時もありますよ。

ただ一つだけ断言できるのは、あなたのブログなんかに出向くほど、さすがに暇じゃないってことです。ネット上には他に読むべきところがいっぱいあるんでね。
by レイランダー (2006-12-13 16:53) 

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