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「ダ・ヴィンチ・コード」と「映画人9条の会」 [憲法・教育基本法]

カゼで寝込んでしまった機会に,読み始めたものの放置していた,話題の「ダ・ヴィンチ・コード」の世界にずっといた.私の場合,長編小説はなかなかその世界に入り込む敷居が高く,始めの数十ページでしおりが止まったままというケースが多い.それがベッドの中で,8度という文字通りの“フィーバー”も加勢して,最後までほぼノンストップで突進してしまった.

歴史と美術と暗号に関する教養知識を舞台装置とした,まさに「インディ・ジョーンズ」だ.読み始めたら止まらない.「あり得な〜い」ことを10ぐらい重ねていくので,たびたび「そんな〜」と叫んでしまうが,それでも騙されて次の展開に引き込まれる.こんなに楽しくキリスト教の歴史が学べる本というのはまずないだろう.職業柄,物理学の知識をこんなに楽しく学べる冒険小説があったら,と思うが,そういえばSFがそうだったはず.しかし最近はあまり流行らない気もするが・・・.

仮に「聖杯」の真実が明かされたところで,特にどうということでもないだろうし,いまさらキリスト教世界の内部で再び宗教戦争が始まるようなこともないだろう(もちろんそんな火種を作ったら文化犯罪だ).しかし物語の途中ではバチカンの支配体制が崩壊しかねないという危機感さえ抱かせる.それが最後にはちゃんと常識の世界に戻るように辻褄が合わされる.見事な演出という他はない,・・・違った,「あり得な〜い」ことを重ねた結果ではあるが.

このように,この小説とその映画には政治性はほとんどないと言っていいだろう.また,もしそれがあればなかなかメジャーヒットと言うわけには行かないはずだ.しかし前のエントリーで触れた「ロード・オブ・ウオー」という映画作品の例もある.古くは,南アのアパルトヘイトを扱った「遠い夜明け」という作品も,政治性を持ちながらも同時に優れた娯楽作品であった.

そこで思うのだが,「九条」や「君が代・日の丸」や,米軍基地問題,さらにはアメリカによる日本支配の問題,いわゆる「ジャパン・ハンドラーズ」を扱った本格的な娯楽大作がどうしても欲しくなる.そのなかでもやはり「九条」の映画だ.Keep the Red Flagさんが,「映画人よ たたかっているか」という記事で,「映画人9条の会が、本当に『さらに一歩前に出た行動を起こす』つもりなら、映画づくりにこそ、一番力を入れて、とりくむべきではないだろうか」と書かれているが,まさにそのことだ.ジャン・ユンカーマンの「映画 日本国憲法」は優れた作品だが,娯楽大作というわけではない.決定的な力を持つのは何と言っても大衆的な文化装置だ.


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