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長崎の高校へ出前授業 [仕事とその周辺]

今週,「ジョイントセミナー」という立派な名前がついているが,要するに出前講義で,長崎の高校まではるばる出かけた.高校生を相手に授業をするというのは,はるか昔,「オーバードクター」の時のアルバイトでやったきりである.「大学の授業を高校2年生に」という無理な注文だが,できるだけそれに沿うために,もちろん数式などは使わず,演示実験を中心に組み立ててみることにした.
 テーマは「量子力学の不思議」としたかったが,それだけで100分も興味を持続させる自信がなかったので,リスク低減のため,これに熱の実験を加えてオムニバス風にした.前者では「三偏光板のパラドクス」を実験を使って説明し,偏光光子対によるベル不等式検証実験の話題につなげた.後者では,「マイナス200度で二千度の高温を作る」との触れ込みで,ペルチェ素子で温度差発電をして豆電球を点ける実演をする.そしてこれをカルノーの定理に結びつける.
 「三偏光板のパラドクス」では,一枚余分に膜を付け加えると逆に光が通るようになる,という不思議さが売り物だが,生徒たちの反応は今ひとつ.他方ペルチェ素子による発電では,冷たいものがエネルギーを生み出す,あるいは,室温の熱がエネルギーになるという現象を,かなり興味を持って見ていたように思う.
 アニメなども使ってできるだけ分かりやすくしようと,だいぶ準備に時間をかけたが,話の組立て,運び方など,まだ不十分の感あり.同じ様な話をもう1,2回やれば,もう少しうまくやれるかも知れないと思う.
 講義が終わったあと生徒の代表が前に出てきて感謝の言葉を述べ,別の生徒が号令をかけて「起立,礼」.昔,自分の高校ではやってなかったと思うが・・・.
 ところで生徒の数はなんと6人.それに担当のT先生.でも,高校の教員免許なしの人間が(大学は免許不要)「教育実習」をさせてもらったと思えば,有り難いことではある.先生には液体窒素の準備をしていただき,どうもありがとうございました.
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同業者向け情報
1)ベル不等式とA.アスペの実験についての,一般人向けの極めて分かりやすい説明が,ニック・ハーバート著「量子と実在」の311ページ以降にあります.
2)ペルチェ素子による冷熱発電の演示実験の簡単なノーハウ
http://ad9.org/pegasus/Education/reinetsu-hatsuden.html (リンク修正)


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